2018年3月11日日曜日

三菱エクリプス・クロス(2018 / NO1) 「偽物の時代は終わった!!」

世界の自動車メーカーを完全に見下している

  三菱待望の新型車は『RVRサイズでアウトランダーの価格』。うーん。逆転の発想は大事だ。アウトランダーのサイズでRVRの価格だと売れるという時代は終わりつつあるのかもしれない。だって怪しさ満点だし。どこでコストダウンしてるんだ!? その逆ならば、まあ気に入らない部分もあるだろうけど、いいクルマなのは確か・・・って勝手に思い込む。果たしてその先入観に隙は生じていないのだろうか!?

暇を持て余した金持ち向け?

  三菱が「暇人&金持ち向けです」と言った訳ではないです。クルマを見聞してそのベストな用途をあれこれと考えると、これ結構いいかも!?と思いますね。週末に早起きして道が混雑しないうちに県境のワインディングへ。前日に布団に入りながら周辺ルートを確認。ただし過疎化が待った無しの日本では、生活必需道路以外は、かなり荒れ放題なので、楽しみに向かった県境ロードのあまりの荒れ具合に、意気消沈して帰路につくことも・・・。

週末のクルマに求められるスペック

  ジムニーみたいなオフロード車ならば、多少は無理して入っていけるでしょうけども、軽自動車及びジムニーシエラで現地到達までの行き帰りの高速道路を走るのは少々心許ない。高速も走れて林道にも入れるとなると、フォレスターくらいしかないですけど、現行フォレスターは評判がとにかく悪い。エンジンが古い。乗り心地は故障レベル。とにかくオンロード性能に不満がある。エクリプス・クロスはフォレスターとガチンコになるモデルですけども、三菱がスバルには真似できないレベルでフォレスターを改善してみせた!!そんなクルマだと思います。

Cセグがダメな理由ははっきりしている

  オールマイティというと語弊があるかもしれないですが、Cセグ周辺に散らばる「ちょっと残念なモデル」例えば、アクセラ(オフロード無理気味なスカイシャシー)、オーリス(衝突安全性とCVTが・・・)、カローラ(そもそもCセグシャシーではない)、インプレッサ&XV(縦置きの実力が発揮されず)などなど。十把一絡げに言ってしまうと「あまり売れて欲しくないから適度に手抜きした・・・」と言ったところか。

ユーザーがまともなら他社に勝ち目はないが・・・

  国産の他のCセグは上のグレードのモデルのシェアを奪いたくないってのが多少はあるはず。それに対してアウトランダーと同じスタート価格に設定されたエクリプスクロスには遠慮がないようだ。三菱が持つ全てを投入しました!!もちろん性能だけなら同クラスでは世界最高のクルマです。そんなメッセージが鼻持ちならないテンションで聞こえて来そうな、えげつないくらいのフルスペックを詰め込んできました。

絶対にAWDグレード

  ベースグレードのAWDモデルで、本体価格が275万円。ホンダシビックが投入されてから、メルセデスAクラスやBMW1シリーズの新古車がいくらでも選び放題の価格帯だ。ブランド力ならドイツの有名メーカーの方が上だろうけども、ランエボ譲りのAYCでバキバキに武装したAWDが275万円は相変わらずにとんでもないコスパ。253万円の2WDモデルを選ぶ理由は見当たらない。

蘇る『クルマの魅力』

  クルマを買うと否応なしに生活は変わる。逆に言うと最近なんだか退屈って人はクルマを買った方がいい。275万円あれば、レクサスLSやメルセデスSクラスからランエボ、WRX、M3、ボクスター/ケイマンまでなんでも買える。けれどもLSでは日本の地方の道路では不便だし、ランエボで昼間に人目があるところに出かけるのは気が引ける。とにかくあらゆるところに乗って行けて、走りも超絶に楽しいっていう意味では、この三菱エクリプス・クロスの完成度は果てしなく高い。

三菱不在の世界は何もできなかった・・・

  元々から三菱の商品開発能力は高い。ちょっと語弊があるかもしれないが、この20年のBMWは、デザインはディアマンテのパクリだし、エンジンはGDIのお下がりを使っているに過ぎない。アメリカ人は三菱のアメリカ撤退方針に対して「残ってくれ!!」と懇願したらしいし、ドイツで人気の四大メーカーといえば、「メルセデス、トヨタ、マツダ、三菱」(某大手調査機関のデータより)。日本ではマスコミによって「悪」の権化にされているけど、世界の人気は全く衰えず。日本のカーメディアは三菱自動車は終わった・・・みたいに報じているけど、このメーカー実は全然赤字になっていない。

BMWもメルセデスも三菱の復活を待っている

  このエクリプスクロスを契機に、「総合自動車メーカー・三菱」のラインナップ復活を期待したいが、スポーツカー(GTO/ランエボ)、スポーツクーペ(FTO/エクリプス)、スポーツセダン(ランサー/ギャラン)、フォーマルセダン(ディアマンテ/シグマ/デボネア)が復活しそうな雰囲気は今のところはない・・・もうお気づきかもしれないが、三菱がラインナップを縮小して以降、世界の自動車産業はずっと停滞している。BMWもメルセデスも三菱の尻馬に乗っかってクルマを作っていただけで、三菱が何もしなくなるともうダメですね。この重っ苦しい空気を打破できるメーカーは見当たらない。マツダじゃちょっと役不足!?・・・カーメディア諸氏へ、クルマがわかる人は絶対に三菱をバカにはしない。


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2018年3月2日金曜日

スバル・インプレッサ&WRX ( 2018 / NO1 ) 「世界一レアなクルマなのかも・・・」


儲かっているスバルはどこを見ている!?
  これから30年のスバルを支えるというスバルの新しいプラットフォームSGP。世界が電動化とか騒いでいる中で、インプレッサは堂々と水平対抗のガソリン自然吸気のみの設定で登場しました。スバル生産モデルではボトムになるので、HVやPHVを投入するタイミングではないとの合理的な判断もあったようで、カーメディアはこぞってトヨタのTHSが導入されると予測していましたけども、1年経っても追加設定はなかったです。

自由な設計はポルシェ?フェラーリ?
  直近の10年で北米の需要が5倍以上に伸びたスバルは、軽自動車の生産ラインを潰したり、工場を新設したりで生産台数を増やしても、需要がそれを追い越し続けるのでずっと生産キャパはギリギリのままらしい。ここ10年のスバルの販売を見れば・・・XVのHVを廃止、日本向けインプレッサのMTモデル廃止、日本向けWRX・S4のMT未導入、先代インプレッサのアイサイトは2Lモデルのみ、S207/S208を600~700万円で発売だったりと、細かい利益を追う無駄な努力は避けて、効率よく『単価』を上げています。当然ですが利益率はポルシェについで世界2位で、メルセデスやBMWを軽く超える2桁達成。

よくよく考えると、スバルは変だ
  トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、マツダ、三菱、BMW、メルセデスなどが次々とHV/PHV/ディーゼルを販売して少しでもユーザーの選択肢を増やそうと奮闘する中で、スバルの日本向けのパワーユニットはガソリンの自然吸気とターボのみ。それで利益率はダントツ。何じゃこりゃ!? ハイブリッドをやらないから、その分経費を押さえられるってこともあるでしょうけども、スバルにだけは世界のセオリーは全く通用しない!?

銭ゲバな最近のスバル
  新型プラットフォーム登場で本来はもっと盛り上がるはずのインプレッサですが、スバルとしたら、インプ買ってもらうくらいなら、単価が高いレガシィやレヴォーグを買ってほしいってのが本音だと思う。だからインプレッサはあんまり売れて欲しく無さそう。下手にインプがヒットして生産枠が取られると、北米向けのレガシィがその分作れなくなる。

部分最適化の罠
  そんな状況下で発売されたインプレッサですけども、アクセラハイブリッドが全く売れなかったように、HV非設定はスバルファンにとってはそれほどデメリットでもないようだ。むしろ下手に開発リソースをHVに使わないで済むし、そのぶんガソリンエンジン車としては深い味わいのクルマを作ることも可能なはず。ミッション、ハンドリング、サスペンションなど確かにスバルが世界最高水準と胸を張るだけあって、先代に比べ全面的に良くなっている。とにかく論理的に「部分最適化」が図られているのは間違いない。

日本のCセグは世界一だが・・・
  しかし、どーいうわけか客観的に完成度が高いと感じるクルマってカーメディアに結構文句をつけられるんだよなー。去年発売されたシビックなんか「絶対売れない」とか言われてたよ、K沢&O沢のカリスマ二人に。『本気で作る』宣言をしたスバルだけでなく、ホンダもシビックの先代モデルはtypeR以外は日本では売らなかったけど、新型は日本のカーメディアをギャフンと言わせるに十分なスペックがあるから、是非に日本でも売りたいという思いがあったはず。インプレッサもシビックも、これまでのシリーズの印象をガラリと変えて、性能で主張できる「中型車」になった。同じくアクセラもアテンザとシャシーを統合したおかげで質感が上がった。トヨタのプリウスだって・・・。

メジャーで勝負できない二流が褒められる日本のカーメディア
  こんなことを書くと、批判されそうだが、ハッキリ言ってVWゴルフとメルセデスAクラス、プジョー308の3台だけがク◯なんだよ。Cセグのレベルを下げている。・・・いや「だけ」じゃないな、ジュリエッタ、V40、1シリーズも追加。この中で世界最大の市場つまり『メジャーリーグ』であるアメリカ市場で売っているのは1.8Lターボに換装したゴルフだけ。インプレッサ、シビック、アクセラ、プリウスは堂々の「メジャーリーガー」だけど、欧州勢はほぼ「プロ野球」レベル。そして実力差を認めようとしない日本COTYは、『プロ野球の方が強い』と言い張ってそうな◯本のオッサンみたいなもんだよ。

媚びないスバルは・・・。
  もちろん「プロ野球」にだって凄い選手はいる。メジャー挑戦を続けるゴルフはちょっと古さが目立つようになった一方で、新しく旋風を巻き起こしつつあるルノー・メガーヌは日本市場でも「メジャーリーガー」を押しのけて選ぶ価値があると思う。後席の乗り心地を多少犠牲にしてでも、4WSという『飛び道具』で勝負してきた。総合力を上げている日本のCセグに対する強烈なアンチテーゼにすら見える。メジャーリーガーの内角をグイグイ攻めてくる。実際に『インプレッサスポーツ2.0i-Sアイサイト(AWD)261万円』と『メガーヌGT334万円』だったらどっちを選ぶべきか!?案外すんなり購入に同意できるのは後者の方じゃないかと・・・。

ク◯なレビューが溢れている
下のようなレビューを平気で書く想像力の欠如したライターに忠告したい。なぜSGPは縦置きエンジンのまま進化したのか!?そもそもまともなAWD車すら用意できないゴルフと比較するのはナンセンスだし、ゴルフの土俵で評価して燃費が・・・ハイオクとレギュラーの差はあるけど、じゃねーって。縦置きと横置きの差なんだけどな。燃費気にする奴は横置き買ってろ。AWDが欲しいやつは縦置きがいいと思う。そういう話じゃないですかね!?そんな当たり前の『前提』すら理解できないク◯がV◯に金をもらってレビュー書いてる。それ読んで真に受けたク◯が、このク◯なブログに失敬なコメントをよこす・・・勘弁してくれ。

  
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2018年2月21日水曜日

日産リーフ(2018 / NO1) 北米敗戦はガチなのか!?


日産リーフが日本で月に2000台超売れている!!
  日産が現在年間2万台のペースでピュアEVのリーフを国内市場に供給しています。アメリカではすでに2016年実績で年間2万台のペースにだったので、日産の戦略は順調かと思われたのですが、統計を見るとあれれ!?なことが起こっています。もしかして一昨年末の新大統領誕生によって日産リーフを取り巻く環境は一変してしまったのか!?米国EV支持を国全体で謳っている!?

リーフはアメリカで売れなくなった!?
  実際のところリーフのアメリカ販売は昨年比で80%減というショッキングな数字が続いていて、現在は年間2000~3000台のペースにまで落ち込んでいます。リーフがアメリカで最も売れたEVだったのはもう昔の話で、今ではテスラの2モデルとシボレー・ボルトに続く第4位なっている!?。あれ!?競争に負けてるじゃん。嘘です!!新型リーフの北米販売は1月から開始らしい。

賢いクルマ・リーフをアピール
  インフラが不十分な上に電気代の高騰が産業全体を停滞させている日本で、リーフを拡販する戦略(1年間電気代無料)こそ整えてますけども、日産にとっては計画通りに進まない米国市場の販売を少々警戒しているようで、日本での販売促進のために「ちょっと意外」なくらいに盛大なるプロモーションを仕掛けたようです。完全に東京モーターショーよりも、リーフの発表会の方が力入ってたよ。

テスラの「神話」
  テスラは2018年までにモデルS/Xに加えてモデル3という35000ドルで販売されるモデルを含めて、生産台数を年間50万台まで引き上げる計画らしい。仮に全量をアメリカ市場に投入するならば、SUVで販売が好調な日産ローグ、ホンダCR-V、トヨタRAV4、シボレーエキノックス、フォードエクスプローラなど年間40〜50万台規模のヒットモデルに並ぶ計算(現在上位10車種の内5車種がSUVという状況。他の5台はビッグ3のピックアップトラック3台とかカムリとシビックのみ)。

トランプ発言は、実体経済へのシンクロ率が意外に高い
  SUVブームによってピックアップトラックだけでなく、シボレーやフォードのSUVまでランクインしていて、トップ10がアメリカ5、日本5という新大統領の支持率がさらに上がりそうな推移をしています。担ぎ上げたアメリカの財界は、軍需産業が伸び悩む中で、ドイツ(GDP維持に成功している)に続いて『国策・自動車』によって産業の立て直しを図るようです。


アメリカとは「神話」
  戦後70年以上にわたって日本にとっては絶対的な存在であり続けたアメリカ。今でも文在寅・韓大統領の政策(脱アメリカ)に対して、日本では「信じられない!」と軽くあざけ笑っているような民意すら感じます。アメリカ車の性能や新大統領の人格こそ疑問を持つ人が多いかもしれませんが、日本の多くの人々はまだまだアメリカ「神話」に全て任せる価値があると感じているようです。アメリカの軍事力は絶対?ベトナムやソマリアすら統治できない失態を繰り返してきたのに・・・。

絆の正体
  80年代以降に日本人がアメリカにシンパシーを感じる要素は何か!?もちろんその答えは色々あると思うのですが、「アメリカが日本車をたくさん買ってくれる」という事実が、案外アメリカに対する警戒感を薄めてくれているのではないかと・・・。そしてこの1年余りでその事実はかなり揺らいだものになっているのではないか!? 2017年末でテスラの生産台数は週に1000~1500台程度なのですが、これがあと1年以内に週に10,000台生産されるようになるとしたら・・・。

テスラの正念場
  アメリカ市場で月に40000台という数字はBMWやメルセデスの上になりトップ10に食い込みます。ちなみに上位9は米ビッグ3、日ビッグ3に、ヒュンダイ/キア、SUBARU、VW/Audiです。8位SUBARU、9位VW/Audi、10位メルセデス、11位BMW、12位MAZDA、13位ジャガー/ランドローバー、14位VOLVO、15位三菱などはテスラが順調にシェアを伸ばしたら価格帯で競合するために壊滅的被害を受けるはず(自動車株は結構怖いですよー)。

残念すぎる人々・・・
  アメリカ人の消費行動は「国策」どおりにアメリカメーカー優先がまかり通っている。新大統領は「日本市場は排他的」と指摘しているくらいなので、日本メーカーの苦戦に「自業自得」だと手を打って笑うだろうね。「アメリカ車は努力をするべきだ!」とか「新大統領は間違っている!!」などと述べて、あざ笑っていた日本のク◯はこの事実をどう理解するのだろうか!?

↓僭越ながらク◯さんよ、これは完全にミスリードじゃないか!?


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2018年2月14日水曜日

トヨタ86(2018 / NO1) クルマを考えるためには最適な1台


5年経っても86とは? 

  トヨタが総合自動車メーカーとしてラインナップのバランスをとっていく中で、キラーコンテンツと言える存在なのが86。ちょっと誤解を招くかもしれないですが、何がすごいって、乗用車でもスポーツカーでもない「86」という不思議な乗り物を21世紀になって作り上げてしまったこと。発売から5年以上が経過しますが、今もなお相当なモヤモヤ感を漂わせた神秘的なモデルのままです。

トヨタのクルマ作りの奥深さ
  豊田章男社長の肝いりで開発が始まったという経緯から、「社長がドリフトして遊ぶための特装車」とか言われたりしてますけど、実際に乗ってみるとこれが実に楽しい。もちろん運転しても楽しいけども、このクルマに乗ると、クラウン、ハリアー、プリウスなどのトヨタの定番の乗用車が、どれだけ緻密に音振(NVH)を考えて設計されているかがよくわかります。素のクルマってこんなに野暮なの・・・?


『異質』を詰め込んだパッケージ
  堅牢さを感じるボデーですが、気密性はあまりなくレクサスRCなどとはだいぶ雰囲気が違います。ピラーレスのドアもウインドーに特殊機能が内蔵されていて、ドアを閉めると隙間を埋めるようにウインドーが動きます。よって外部の音がストレートに入ってくる感じはしないのですが、やはり乗用車としては不思議な皮膚感覚が。古い欧州車に乗っている感じがする(狙い!?)。トヨタの乗用車はこんなにスースーはしないです。カローラなどの小型車でも、やはり何気ない内貼りの素材がとても大事なんだなと気がつきます。

ハンドリングも独特
  ボデーだけでなく、ステアリングの重さ、シフトレバーの感触からもトヨタの乗用車をの違いを強烈に感じます。レクサスなどトヨタのFR車は今ではかなりハンドルが重い部類に入ると思います。特に切り始めが重い。86のステアリングもそれに近いのですけども、切り始めてからトヨタらしい「遊び」があってからの、その先が一気にグイっといきますね。フロントサスの形状の違いだけでは説明できないギミック感が結構印象に残る。その感触こそが86と言っていいかも。鼻先が軽いのともちょっと違う気が・・・。

スポーツカーではない何か
  実際のところ「なんかよくわからない」というのがこのクルマの最大の魅力なのだと思います。スポーツカーはもう時代遅れですから。かつてのRX7やS2000のようにメーカーが持てる最高のユニットを載せて、軽量化やサス・ミッション・デフなどの形式によってパフォーマンスを最大限に引き上げるための設計を施したクルマの価値は、もちろん普遍ですけども、今ではそれを有り難がる人はちょっと減っているようなので、市場価値という意味では下落気味です。

ゆるーくスポーティなクルマが好きな日本
  それに対して、かつて日産が作っていたシルビア(S13型)は、エンジンも設計も全然「本気」出していないゆるーい設計だけれども、その分だけ手軽な価格設定がされていて、とてもよく売れていました。ピュアなFR機構のクルマとして、期待されて登場した86ですけども、バブル期に似たようなクルマはあったっけ!?これがありそうで意外に少ない。せいぜい出てくるのはシルビアくらいなもの。シルビア譲りの「ゆるーい」設計を施した86は戦略通りにS13シルビア的な売れ方をしたと思います。

スポーツカーでも乗用車でもない「86/シルビア」というジャンル
  シルビアもS15で最終的には自主規制ギリギリの280psモデルが登場しましたけども、最初はノンターボで楽しむデートカーくらいの企画でした。爆発的な売れ方をしたので、知り合いにも乗っていた人が複数いるわけですが、当時を振り返って口を揃えて楽しいって言っています。そしてその評価はRX7やS2000よりも高かったりします。RX7やS2000でしばしば囁かれるのは「速すぎる」というガチ評価。ひと昔前のホンダやマツダにありがちなシャシーよりもエンジンが勝っているクルマという意味もありますが、やっぱり軽量化&四輪DWBによる、ファジー感のないシビアなハンドリング挙動は、「ちょっと怖い」ってのが正直なところかも。

バブル期の日本メーカーは自由ではなかった
  トヨタが86の開発にあたってこだわったマーケティングのポイントは他にあるのかもしれないですが、86が売れた理由をあれこれ考えるのは結構楽しいです。バブル期にはアルシオーネ、ピアッツア、プレッソ、GTO、プレリュードなどなど、スポーツタイプと言われるモデルがありましたが、バブル期といえども、その多くはFF化が進む日本メーカーの開発事情によってその設計は大きく制限されていました。

FRスポーツをじっくり作り込むタイミングに恵まれなかった日本の自動車産業
  日本市場が成熟したバブル期においても、ほとんどの日本メーカーは業績を追うあまりに、満足なクルマ作りができなかったと言えます。1970年代から80年代に次々とFF化に舵を切った日本メーカーにとっては非常にタイミングが悪かった。まだまだ豊かという実感も乏しかったでしょうし、日本の自動車産業が世界をリードしているという驕りもなかったのかも。ただただ海外移転に直面して新しいグローバル戦略の要点を理解するのが精一杯ってのが本音だと思います。

カーガイ達の夢の続き
  1990年当時のポルシェの危機的な経営状況を考えれば、日本メーカーの判断は非常に常識的なものだったわけですが、その不条理を状況においても信念を捨てずに乗り越えたポルシェだからこそたどり着けた『高み』というものがありました。ポルシェの現在の名声を目の当たりにして、羨ましいと思う日本メーカーだからこそ、失われた時間を取り戻すかのように、古典的なFRという設計にこだわったクルマを作りたい衝動があるのかもしれません。そして生まれた86/BRZはメーカーの枠を超えて多くの開発者にとっての「理想」を形にしたものじゃないかと思うのです。


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2018年2月8日木曜日

トヨタ・プリウス(2018 / NO1) 『完璧』なのは認めよう。


なぜプリウスは作られ続けるのか!?
  トヨタのほぼ全ラインナップにハイブリッドが行き渡っていますが、それでもなお日本市場においては、一定のステータスを示す クルマとして生き残っているクルマがプリウスです。一応書いておくと、プリウスとアクアはシャシー、ボデー、タイヤまでをハイブリッドに最適化されていて、同サイズ・同重量のHVよりもさらに燃費が良くなるように設計されていて、もはやユニットではなくプリウスという技術の塊全体に価値があることも市場に十分に伝わっているようです。

なぜプリウスは批判を受けるのか!?
  設計における「ストイックさ」を売りにしているクルマを捕まえて、その退屈な走りをボロクソに言っていたオッサン達もかつてはそこら中にいましたが、さすがに自分の過去の発言は完全にお門違いだったと理解しつつあるようです。プリウスに対して「これに乗ってると運転がキライになる!!」とか言ってる有名評論家がいましたけど、それってミニバンを捕まえて「3列シートは狭いからやめろ!!狭くてクルマが嫌になる!!」なんて言っているのと同じ・・・。

なぜプリウスは全方向的に進化するのか!?
  的外れな批判に逆ギレもせず、さらに自らの努力で、その批判と向き合おうとするトヨタの姿勢は、全自動車メーカーのお手本となるべきですが、それを実現できるだけの開発費を注入できるのはトヨタだけなのも事実。他社にとっては「無いものねだり」になってしまいます。それに追い打ちをかけるかのように、トヨタもプリウスで輸入車顔負けの乗り味を追求し始めるという、絶妙なさじ加減には思わず笑ってしまいます。現行プリウスに乗って戦慄を覚えたカーメディアもたくさんあったはず。これはもう安易に批判できないレベル。今のカーメディアにとってはあまり触れたくないクルマなのだと思います。

なぜプリウスは執拗に他車を追い詰めるのか!?
  4代目プリウスの登場で確実に日本の「普通車」のハードルは上がりました。下手すると、あれ!?このクルマはあの燃費番長よりも乗り味が悪いぞ!?ってことになったら、もう安い意義に存在価値が見出せないですし。そして実際に結構な数の輸入車がやられてる。メジャーなところだと『V◯ゴ◯フ』とか。異論はあるでしょうけども、洗練されたTHSⅡと、最初から段付きのDSGでは、もはや住む世界が違うクルマです。

なぜプリウスはスルーされるのか!?
  「わざといいクルマに乗らない派」の人々にも発言権はありますし、輸入車の素晴らしさを存分に語る権利もあるんですけども、プリウスを批判したいのなら、プリウスと互角以上のエコを追求したクルマを見つけてこないと同じ土俵に立てないっすよね・・・。まあクドいですけども、プリウスの乗り味にイチャモンつけるのはお門違いってやつですから。

なぜプリウスは無敵なのか!?
  他のメーカーにとっては「悪夢」としか言いようがない。プリウスが「トヨタのベクトル」で高いスコアを出して、日本市場ではその評価のまま売れている。もちろんトヨタの戦略が高度すぎるというのもありますけど、ここまで硬直化した市場(日本のCセグ)にさっさと見切りをつけて、プリウスと同じセグメントでは直接戦わない!!という賢明な判断を下したのが日産。そして渾身設計のリーフで必死に反撃を試みていますが・・・。

なぜプリウスのフォロワーはでてこないのか!?
  そんなまともな判断もできずにあっけなく撃破されたのがアクセラとインプレッサ。新型プラットフォームが期待された両車でしたが、ややカーメディアの愚論に飲み込まれた結果な気がします。MQBなんてつぎはぎだらけの幻想に過ぎない。最近もメガーヌやらシビックやらが「中央突破」をしようとしているけども、輸入車なので供給体制にも限界があるだろうし、とりあえずはアクセラやインプレッサを超えることはなさそう。

なぜプリウスは売れ続けるのか!?
  どんなクルマならば日本市場のプリウスを粉砕できるのか!?欧州市場では、あの定番車であるVWゴルフをかつてはフォード・フォーカスが、そして今度はルノー・ルーテシアが上回ろうとしていますが、プリウスの影を踏めるクルマは!?2016年末に日産のノートe-POWERがプリウス一色だった2016年の普通車販売に待った!!とかけましたが、攻勢は長く続くこともなく、発売から2年以上が経った今もプリウスは売れ続けています。

なぜプリウスは上級グレードがよく売れるのか!?
  現行プリウスは350万円くらいする上級グレードがお買い得なのでよく売れています。もはやこの価格だとメルセデスC180やBMW318iが新古車市場で取得できる価格帯ですけども、上級グレードのプリウスも臨戦態勢は整っていて、350万円出してもいいかもと思わせる内容になっています。『40km/L』✖︎『上質』という組み合わせは、非常にコスパがいいなと感じる。燃費はそれほど重要視しないと口では言っていても、レギュラーガソリン1Lで30km走ってくれたらそりゃ嬉しいですよ。


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2018年1月31日水曜日

マツダCX5&CX8(2018 / NO1) またしても起こるMAZDAの奇跡

広島の新名物・SUVの価値とは!?

  ここ数年における全ての日本メーカー車の中で、一番勢いがあるモデルといえば間違いなくMZADAのCX5です。グローバルであまりにも売れゆきが良いので、初代発売からたった4年という異例のショートサイクルでFMCを敢行しました。歴代MAZDA車の例に漏れず、日本市場ではそこそこの売れ具合でしたけども、インド、ブラジルを除く『G20市場』ではおそらく世界最強!!想像を超える快進撃を見せ、6年前に生まれたばかりのモデルが、今では堂々の年産40万台を超えています。この数字は全メーカーの国内生産車の中でもトップクラスに位置します。プリウスやランクルと互角。

マツダが目指す世界一のクオリティの意味。

  北米価格もボトムグレードで堂々の25,000ドル。日本で500万円オーバーの価格がつけられているメルセデスCLA250(AWD)が北米では30,000ドルくらいですけども、新たに投入されるCX5のディーゼルは、それを超える価格設定になりそうです。やはり『日本代表』の国内製造モデルで、はるばる海を超えて『メイドインジャパン』クオリティで輸出販売するならば、300万円以上の価格帯にしないともはや長期的には全く採算の目処は立たないらしいです。

国内生産維持はイバラの道

  つまり北米でメルセデスやBMWと同じくらいの価格設定にしても、ユーザーに選ばれて販売が拡大するくらいのクルマを作らないと「国内生産」は維持できないようです。マツダの2017年の国内製造は96万台。これを平均価格300万円以上の価格で売りさばければ、国内製造分だけで売り上げが3兆円に達します。ここがマツダの目指す「本当の」損益分岐点であり、CX5に引き続き投入されたCX8の売れ具合によっては、かなり現実的な数字になりそう。

日本で売れている輸入車ってさ・・・

マツダのデミオベースの小型車はトヨタブランドへのOEM車として密かにアメリカで販売されていますが、これは全量がメキシコ工場で生産されています。メルセデスもBMWも小型モデルの生産設備を北米に用意していないので、30,000ドルの設定は絶望的なAクラスや1シリーズをアメリカ市場に投入することができないわけですが、それでは日本で300万円で売ってるA180や118iはなんなのかって!?・・・まあオーナーは知らない方が身のためですよ。

MAZDAのビジネスモデルは単純明解

かなり批判もあるようですが、別にMAZDAは変に気取って「高級路線」を歩んでいるわけではないです。バブルの頃も今もMAZDAのビジネスモデルが成立する条件は、300万円以上するクルマだけでラインナップを揃えること。バブルの頃のマツダの戦略は、ユーノスコスモや、アンフィニRX-7といったスポーツモデルでグローバル市場を切り開いた上で、結局は幻に終わったV12搭載のアマティ(日本のロールスロイスになる予定だった)で、世界の自動車業界の『頂点』に君臨する予定だったようです。

20年後にはMAZDAが本当に世界の頂点に立っているかも!?

全然想像つかない人もいるかもしれませんが、かつてルーチェレガートのような気品溢れる高級車を作ったこともあるマツダなら、「東洋のメルセデス」くらいにはなれたんじゃないか!?という気がします。広島、防府で集中生産しているCX5も増産体制が整ったことで、北米販売も月10,000台リミットから、月15.000台リミットになり、12月度はアメリカだけで14000台のCX5を売り上げました。





MAZDAの欧州ビジネスはそろそろオワコン!?

  300万円・・・で思い当たるのがCX3。フォード時代の名残から今もせっせとデミオを欧州へ輸出しているマツダですが、欧州ビジネスでは利益は全然出ていないようです。トヨタ、日産、ホンダが発売するライバルモデルは当たり前ですが、全量が欧州での現地生産ですから、日EU間の関税すらかからない。たとえマツダが欧州フォードの遊休ラインを間借りして勝負したところで、相手は世界トップ10の巨大グループなのであまり意味はないかも。そこでデミオベースのシャシーを使って、欧州で稼げるクルマとして開発されたのがCX3ですね。

WCOTYを獲った『お荷物』・・・

  プリウスやランクルなど、トヨタの長年の巨大な資本投下と技術の結晶みたいなモデルに対して、CX3で同じ『国内生産ビジネス』を成立させるのは、ちょっと小手先過ぎたのでしょうか、いくらなんでも欧州のユーザーを舐めすぎ!? スバルに言わせれば、欧州に生産設備を持たないなら、デミオのようなCセグより小さいサイズは問答無用でカットすべきだったんだろうけど、先代デミオはマツダ車初のWCOTYだったりするわけで、そう簡単に切るわけにはいかなかったようですね・・・。

ホンダとマツダの違い

  ホンダのように過去の栄光などあっさり捨て去るくらいのドライなビジネス感覚があれば、リーマンショックが起こっても赤字にはならないのでしょうが、CX5で頑張りつつもデミオで足を引っ張る感じのMAZDAの人情味溢れる経営はやっぱり好きですね。どう考えても採算に達しないであろうロードスターを作り続けたり、ロータリーを復活させようとしたり、ホンダだったらとっくに止めているだろうけどさ。

ホンダに勝てるのはマツダだけ

  でもそんなMAZDAだからこそ、天才的な商品力を発揮するクルマを作れるんだと思います。ポルシェ、フェラーリ、メルセデス、ロールスロイスをライバルに回しても戦えるだけのクルマを作れてしまう不思議なメーカー。グローバルで立ったの160万台規模なのに。CX5もCX8も慢性的に訪れるMAZDAの不安定な経営環境ゆえに完成した傑作モデルですねー。





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2018年1月26日金曜日

スズキ・スイフトスポーツ(2018 / NO1) 『感動ハンドリング』の押し売り

このクルマを選んだ人の感覚は素晴らしい

  圧倒的なハイパワーとか、ガリガリに減量したガチスポーツカーとかを除外した市販車の中では、「最高のドライビングフィール」と認定しても差し支えないと思うのが、歴代のスイフトスポーツのシリーズです。このクルマを選んでいる人は間違いなく自分の感覚でこのクルマを選んでいる!!このクルマのユーザーは全員信頼できる!!・・・まあそんなクルマです。




色々な意味でスポーツカーでは無い

  トヨタはヴィッツGRMNに400万円だそうです。まあプロドライバーがおっかなビックリに走らせている動画を見ると、とことん走りに向き合えるという意味では400万円には納得はできます。当然にヴィッツGRMNに400万円払うくらいなら、スイスポを買う!!ってなるでしょうけども、183万円で済むゆえの「代償」みたいなものも、まあいくらかはあります。

  先代スイスポもそうでしたが、決してアクセルオンですぐにクルマが横を向き出すような挙動はでません。むしろノーマルのスイフトよりも安定志向にすら感じられる。冒頭にも書きましたが、このシリーズに乗ればおそらくほとんどの人が感動を味わうでしょうけども、それはスキール音を立てて走れるようなスポーティな感覚ではなく、恐ろしいレベルで調整された精緻な「ハンドリング」に対しての驚嘆から生まれます。そしてそれと同時に気がつくのは、本当に良いハンドリングのクルマは、平均以上の安定志向の中から生まれるということ。



伝統的工芸品ってやつですな

  スイスポよりもピーキーなハンドリングを備えたクルマなら、サイズの大小問わず色々あります。アバルト595、MINIクーパーS、そしてフォードマスタング。ハンドリングというよりも、シャシーとエンジンのバランスがちょっとばかりオカシイ車ばかりですけど。おそらく3ブランド共に個性を与えるためにわざとやっています。市販車改造モデルで上手くスポーツカーみたいな走りを演出したいという意図はわかります。

  それに対してこのスイスポは、スポーツと言ってますけど、そのような類のトリッキーな味付けは全く狙っていません。同じクラスには破天荒な走りをするクルマは色々ありますけど、過剰さを排除して精度を上げるという高度な演出を使う「ホットハッチ」はこのクルマだけじゃ!? もし素直なハンドリングを競う世界大会があったら、このスイスポがチャンピオンでしょう。アクセラ、ゴルフ、インプレッサを抑えての世界チャンピオンです。昨今は中型車を中心に、Eデフや4WSが流行してますから、挑戦者そのものが少ない地味なトーナメントですけども。



将来的に『ハンドリング』という言葉は無くなる!?

  ハンドリングといえばFRだろう!!なんですけども、ここ数年にあれこれ試してみたFRはもうハンドリングを語るレベルには無いです。もう電子制御がガチガチなので、クルマはもはや曲がるようにしか曲がらない・・・。アルテッツァのような走りの4ドアFRなんてもう消えちゃってますね。現行ISは・・・無作法なハンドリングには警告が出そうな雰囲気すらあるし。

  主にFRを使う高級車はみんな中国市場に引っ張られて、クルーザーのような面舵いっぱいなハンドリングになってます。新型レクサスLSはそこに敢然と挑んだようですけども、300psオーバーならもう電制ガチガチにしないとまっすぐ走れないですから。日本が昔やっていた280ps規制ってのは素晴らしい仕組みだったと思います。あれが無視されるようになって走りがつまらないクルマがどんどん増えた!?まあそれでも確かにハイパワーのクルマは面白いですよ。走らせる時の手汗は結構やばいので、試乗の際は手袋を着用しましょう。



すでにレッドリスト入り!?

あと5年もすれば、日本メーカーのほとんどの市販車にはモーターが組み込まれるようになって、普及した安価になったEデフシステムや、後輪モーターAWDや、4WSが当たり前に装備されるようになって、全てのコーナリングにおいて、センサーでトルク配分が当たり前にされるんでしょうね(軽自動車でも)。すっと駆け抜けるのではなく、ジリジリとタイヤが路面を確かめるように走る!? そうなったら走りが好きな人は、今度こど欧州車を買うようになるでしょうね。ローテク感がNOWなプジョーとかさ・・・。とにかくこのスイスポがあればあと10年は思いっきりアクセル踏める。


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