2014年5月1日木曜日

「トヨタ」を批判する人にひとこと・・・

  国産メーカーで唯一、国内でもプレミアムブランドを展開しているトヨタ。日本での「レクサス」立ち上げ時には、この前まで「アリスト」として売っていたクルマが「GS」となり、同様に「アルテッツァ」が「IS」、「ソアラ」が「SC」といわゆるバッジエンジニアリング(ブランドマークの交換)だけで、価格が100万円以上跳ね上がるという「画期的」な商習慣が日本に導入されました。

  世界の頂点を颯爽とひた走る「ハイパー・メーカー・コンツェルン」トヨタグループですから、もちろん批判されることは覚悟の上での「余裕の"強行"導入」です! そしてまるで世界的な経済危機が到来することを予期していたかのようで、追従して日本上陸を目論んだアキュラはタイミングを逸して断念せざるを得ませんでした。フラッグシップの「LS」以外の車種には一切投資なし。国内の販売網には相当にお金がかかりましたし、当然に赤字転落の憂き目にも遭いましたけど、10年20年のスパンで見たら確実に日本市場に「プレミアムブランド」は定着するので、長い目で見たら「日本上陸」は絶対に正解です。

  どんなクルマを持っていったって、異なる商習慣ですから、周知されるまであらゆる抵抗をうけます。世界を完全に黙らせた奇跡のスーパーサルーン「LS」を投入しても批判されます。BMWと互角に闘える現行の「GS」「 IS」を前倒しして発売しても、まあ無意味だったんじゃないでしょうか。とりあえず「レクサス」の営業力で旧型シャシーを使ったクルマを売る事ができるのか?という遠大なる実験の場だったのだと思います。カローラもどきのISが500万円で売れてしまう恐るべき「レクサス・マジック」が展開されました。

  多くのクルマ好きには「茶番」だということが解っていましたから、この時期はまだまだクラウンやマークXが売れました。一方でマジェスタのお客は順当に「LS」へと移っていきました。この時期のレクサスで価格通りの価値があるのは「LS」だけだったわけです。やがてレクサスは世界の経済危機が収束したころを見計らって、GSの「本格的」なFMCを行いました。この頃からクラウンの販売が下火になります。クルマの価値がよくわかっているユーザーが次々にGSへと乗り換えます。そして同様にISも刷新され、いよいよDセグの頂点に立つクルマになりました。

  さてトヨタブランドの「上客」が次々にレクサスへと乗り換えていくわけですが、今後の「トヨタブランド」はどうなっていくのか? 一般的には高品質なクルマ作りをレクサスへと移管したのだから、「低価格」のモデルを中心に拡充が行われると考えられています。しかしここ数年に発売されたモデルを吟味すると、おそらくブランド全体の平均販売価格は上昇していると思われます。トヨタの売れ筋は「安いクルマ」ではなく圧倒的に「ちょっと高いクルマ」へとシフトしています。

  まずハッキリとしたトレンドとして、「ヴィッツよりもアクア」「プレミオ/アリオンよりもプリウス」が圧倒的に売れています。さらにプリウスもより高価格な「PHV」や「G's」が人気を集めます。もちろん高ければ高い方がいいというものではなく、300万円に近づくまでは「高級化」が好まれます。これが400万円を大きく越えて「レクサス」の領域(500万円~)に近づくとさすがに売りにくくなるようです。

  簡単に言うと「マークX」「カムリ」「プリウス」「ハリアー」「エスティマ」「ノア/ボクシィ」「86」といった主要モデルはことごとく300万円に収束した価格設定になっています。これより高いと「クラウン」「アルファード/ヴェルファイア」といったネームバリューのあるクルマしか成立しないようで、「SAI」は完全に価格設定を見誤っている例です(トヨタは確信犯でしょうけど)。もちろん300万円を下回る「アクア」「カローラ」「ヴィッツ」も売れていますが、それ以外は「オーリス」「ウィッシュ/アイシス」「ラクティス」「ポルテ/スペイド」「パッソ」「ラッシュ」「IQ」と地味な低価格車が並んでいますが、そろって人気はいまいちです。

  さらにトヨタは「ピクシス」という軽自動車も販売していますが、これもまったく売る気はないようで、存在感はまったくありません。トヨタが74万円の軽自動車を売っているなんてほとんどの人は知らないんじゃないでしょうか。トヨタブランドは結局のところ、300万円ラインのクルマが非常に高い競争力を持っていて、それがよく解っているユーザーに手厚く支持されています。よく「トヨタは安物!」などと発言している人がいますが、どこを見て言っているんだろう?トヨタブランドの本質が見えているのか?という気がします。

  下のグレードだけを見て「トヨタ」とか言われても困りますし、大抵そういうことを言っている人は300万円しないくらいの輸入車に乗っていたりするわけです。正直言って、「ゴルフ」「A3」「Aクラス」「1シリーズ」「V40」の争いなんて、トヨタの主要ラインの足元にも及んでいない低次元な争いなんです。そもそも200万円のマツダ車に負けてしまうレベルなんですよ・・・。カーメディアが未だに盛り上げようとしている「輸入車Cセグ」・・・まあ「ゴルフ」が悪いクルマとは思わないですけど、そのレベルから「トヨタ」を批判するのは、まったく理解できないですね。

リンク
最新投稿まとめブログ


0 件のコメント:

コメントを投稿