2014年10月17日金曜日

デミオ・フィーバーだけど、最近のBセグはいろいろ面白い。

  トヨタ・アクアが発売してまだ3年も経っていないことに正直驚きですが、今や完全に日本の道路を象徴する存在になりました。これだけの大ヒットはさすがに当初の予想すら上まわるものだったようで、アフターパーツ・メーカーも慌てて開発に着手し、この1年くらいであれこれと出揃ってきました。最近では楽しげに走るカスタマイズ"アクア"を、休日の度に街中でちょくちょく見かけます。トヨタのHPで扱われているエアロパーツを見ると、どのシリーズもフロント・サイド・リアにフル装備しても10万円足らずです。同クラスのVWポロでエアロ4点セットを組むと、工賃と塗装代が別途に計上されて50万円程度かかることを考えるとかなりお値打ちです。ちなみに国産ではスバルWRX S4が3点で27万円程度だそうです。

  コンパクトカーにおいて10万円が高いか安いかは意見が分かれるでしょうが、これだけ街中にありふれるようになった量販モデルだからこそ"個性化"の意義はより大きいと思います。しかも10万円の3点セットで印象はガラリと変わりますので、費用対効果が非常に高いです。やや垢抜けないノーマル・アクアからのギャップが大きいので、その振り幅は大きくかなり良い仕上がりに感じます。そもそも車高が低く抑えられているアクアの素材の良さが、絶妙なプロポーションを演出するのに大きく貢献しているようです。

  いくつかのパーツメーカーがトヨタのHPでアナウンスされてますが、いずれもホワイトベースのものがテーマカラーになっているようで、出来上がりはまるでシトロエンDSシリーズみたいに見えます。シトロエンDSといえば、DS3でルーフ塗り分けをするなど、新しいコンパクトカーの潮流を作る、デザイナーズブランドとしての地位を着々と築いていいて、ホンダCR-ZやレクサスCTなど比較的高価格な国産小型モデルが相次いでルーフの塗り分けを採用するなど、特に国産車への影響の強さが象徴的です。アクアのパーツメーカーもDS3、DS4のホワイトを念頭においているようで、"レイヤード調"ともいうべき、外板を重ねたようなフロントグリル回りの重厚感のある意匠を上手く"パクって"いると思います。

  デザイン重視でBセグを選ぶならば、最近なにかと話題のデミオのデザインは確かに冴えてますが、ホワイトで勝負できる"カスタマイズ"アクアの高級感演出はなかなかで、デミオ絶賛の世論に水を差すようで恐縮ですが、カーメディアが騒いでるほどには必ずしも「デミオ絶対優位」というわけではないと思います。さらに言うと国産Bセグは従来の「お手軽さ」というセールスポイントを軽自動車に奪われて久しく、新たな価値観が強く要求される時期に差し掛かってきたようです。

  今回のデミオのFMCで完全に刷新されたカラーバリエーションを見ても、全10色がどれも本気モード全開で、先代にあったような"カナブン色"のパステルグリーンを廃止し、小型車にありがちなイエローもありません。トヨタ・パッソでブレイクしたピンクを新たに取り入れましたが、新色「スモーキーローズマイカ」は、パッソのような若い女性向けではなく、男性ユーザーや年配の女性ユーザーも使える深みのある色彩をしていて、今回もっとも注目しています。さらにマツダの意図を感じるのが、3色用意されているブルーでしょうか。先代アクセラで密かに人気だったブルーを小型スポーツHBのイメージカラーに据えようという考えのようです。

  2年前までは国産Bセグの"エース"は間違いなくスイフトスポーツが担っていました。どの評論家も挙ってスイスポを絶賛し、まるで今のデミオのようなスター的な扱いでした。「走り」に主眼を置いた正統派のスイスポに対して、圧倒的な環境性能+デザイン新提案で見事にシェアをごっそりと奪ったアクアによるトヨタのしたたかさと確かなヴィジョンは、評論家によって特に持ち上げられることもなかったのですが、次世代コンパクトカーを渇望する市場のニーズを完璧なまでに取り込む見事な企画だったと思います。これはもはやトヨタの営業網が無くても、十分に結果が出せるだけの競争力があったように思います。発売から3年近くが経ってなお、新型デミオに大きく立ちはだかるだけのポテンシャルを秘めた設計の奥深さには、ただただトヨタの企画力への畏敬の念が湧いてきます。

  アクア・デミオとは逆のコンセプトでしたたかにシェアを獲得しているフィットのユーティリティの高さも、カーメディアの後押しなどないままに市場に受け入れられました。軽自動車を次々と投入し、ヴェゼルを大ヒットさせるなどホンダの小型ラインナップ急拡大路線は、旧来のホンダファンにとっては複雑な想いがありそうですが、この"ホンダショック"こそが、従来の国産Bセグに大きなインパクトを与え、ノート・マーチ・スイフト・ヴィッツ・パッソは淘汰の淵に追い込まれつつあります。現状ではアクアだけが生き延びて、デミオがここに挑むためにマツダの"総力"が動員されました。VWポロやBMWミニが国産Bセグを圧迫している!みたいなややおかしな論調がカーメディアには見られますが、間違いなく競争を激化させているのはホンダの体質変化(社長人事!?)によるものだと言えます。さて・・・果たしてカーメディアが"ゴリ押し"するデミオは、良識ある日本市場に手厚く支持されたアクアとフィットの2強をどこまで切り崩すことができるのでしょうか?


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