2015年5月13日水曜日

トヨタ・マツダ連合で マジェスタ・ディーゼル と アテンザ・次世代スカイPHV が登場?

  GWを挟んでやたらとクルマ関連のニュースが一般メディアを駆け巡っていました。「EV限定の1000円高速制度に応募が集まりません!」なんてニュースはクルマに特に興味がない人々にとってはホントにどうでもいい話題だと思います。まあこのニュースをきっかけにEVの「給電」は実際にどれくらい費用がかかるのかが、少しでも広まったことは良かったです。どっかのライターが悪のりして、EVは安くない!4200円の毎月の充電施設利用料を払い、さらに充電時間に応じて課金が行われ、月額で10000円を超える!などと書いていましたが、大手石油元売りがGS設備を使って手掛ける民間サービスでも月額3000円で無制限!というこれまでの定額サービスが相次いで終了し、今後はかなりシビアな「実費」が請求されることになりそうです。

  これでは「ピュアEV」(エンジン無しのEVで充電しか補給方法無し)を慌てて買った人々にとっては、いろいろと不満が噴出しそうな状況なのかなという気がします。自宅に給電設備を整えていて、近隣を周回するためのクルマならば特に困ることはないのかもしれないですが、都市部のマンション住民にとっては「ふざけんな!」って感じかも。そんな中でかなり「先見の明」があったと思われるのが、PHVつまり「プリウスPHV」や「アウトランダーPHEV」を買った人々なのかもしれません。もちろん「1000円高速」を謳歌するには、月額4200円の充電施設利用会員にならなければいけないみたいですが、それを負担した上でも東京から関西圏までETC割引でも往復で15000円ほどかかるところを、たったの2000円でOKなのは十分に魅力です。リーフなどのピュアEVでは航続距離の問題があり、高速で1時間ほど走ったら30分の充電が必要というトンデモな利用環境なので、「1000円高速」なんて全く意味がありません。

  今やアメリカでは「ノーマルのHV」ではPHV/EV/FCVと区別されて「環境対応車」とは見做してもらえずに、様々な「グリーンカー特権」が享受できないみたいです。トヨタとホンダの奮闘により早くからHV先進国として名を馳せたわけですが、インフラを必要とするPHVの将来性についてはやや懐疑的なメーカーが多かったようで、未だに300万円台の良心的な価格で発売しているメーカーがトヨタと三菱だけなのは少々意外な気がします。さらにトヨタと三菱が開発して商品化へと移した直接的なインセンティブも、自動車メーカーに対してやたらと高圧的で知られるアメリカの連邦政府の「無茶振り」がきっかけだったりするようです。今後継続してアメリカで自動車を一定規模以上販売するメーカーには、そのラインナップに「グリーンカー」を組み入れることを義務づけることが決まっています。

  トヨタは「プリウスPHV」日産は「リーフ」ホンダは「アコードPHV」「フィットEV」 を既に発売済みです。三菱はアウトランダーPHVではなく「iミーブ」を展開しています。残るスズキは北米からの撤退を決めていて、スバルとマツダはアメリカでの商売が生命線ですから開発・製品化を急いでいるようです。スバルは自社開発の3モーター式PHVのコンセプトモデルを既に発表済みです。一方のマツダは水素ロータリーもしくはロータリーをレンジエクステンダーとしたEVをデミオに設定する方針だったようですが、ここに来てトヨタからPHVもしくはFCV技術を移植する方向で交渉に入ったと伝えられました。もちろん好調とはいってもトヨタを下請けにできるほどキャッシュに余裕があるわけでもなく、トヨタに対してクリーンディーゼルを比較的リーズナブルな価格で引き渡すことの見返りとなるようです。

  現行アクセラにトヨタのHVが積まれる契約が締結されたときにも、マツダからトヨタへクリーンディーゼルの供給が一旦決まりかけたそうですが、なんとトヨタはBMWから契約を白紙としてBMWと供給契約を締結しました。この段階では、欧州市場にしっかりとした足場を築くために、VWゴルフを徹底的にマークしたオーリスに複数のバージョンのディーゼルを積むための判断だったようです。3シリーズだけで7種類のディーゼルを取り揃えるBMWのバリエーションの多さに対し、エンジンの製造工程を見直して集約化を図ったばかりのマツダはディーゼルのバリエーションを減らして1.5Lと2.2Lの2系統しか用意しておらず、2.2Lではオーリスに載せるにはオーバースペックと判断したトヨタの苦渋の決断だったと思います。

  しかしその後になって日本国内でマツダのディーゼルが快進撃を続け、さらにレクサスを脅かすように日本向けにメルセデス、ジャガー、マセラティがディーゼルを追加・新導入に踏み切ることが相次いで発表されると、アベノミクスによる高級車市場の活性化をも視野に入れて、トヨタもこれらを迎え撃つ「臨戦態勢」を採る必要が生じたようです。今やトヨタの高級車には全てHVのグレードが設定されていますが、国内販売は思ったほどに良好ではなく、さらに高い商品力を獲得できるユニットとして、静音・制振において非常に優れていて、高級車用ディーゼルとして屈指の実力を持つマツダのディーゼルを採用しよう!という目論見があるように思います。

  アクアやプリウスの販売は好調を維持していて、このクラスにディーゼルを入れるメリットは薄く、レクサスGS/ISとトヨタブランドのマジェスタ/クラウン/マークXへのディーゼル投入こそが、トヨタがマツダに接近する理由のはずです。トヨタとしては、デミオ/CX3用の1.5Lディーゼルではなくて、アテンザ/CX5/アクセラ用の2.2Lディーゼルが欲しい?のだろうと思いますが、一方でマツダのメリットは米国販売継続のためのFCV/PHVに限定されてしまうのか、あるいはトヨタから得るものを応用して、想像を超えるような素晴らしい経済性とドライブフィールを兼ね備えたクルマを開発してトヨタとホンダを驚愕させるのでしょうか。カムリHVに使われている横置きエンジンと組み合わせるHVシステムに、強烈なまでの燃焼効率を実現して実用化の目処も付いているという「次世代スカイアクティブG」を組み合わせることで、マツダの技術者が言うような「究極の高級車用HVユニット」が生まれる可能性も・・・。


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