2016年7月6日水曜日

86もプリウスも決して「安っぽく」はない・・・。

  トヨタ「86」のビッグマイナーチェンジが発表されました。このクルマは当初のネーミングから完全に「狙って」ますから宿命ではあるのですけども、(まだ試乗もできない)クルマの評価に関しては4年前とまったく変わらない「一般人のコメント」がネットメディアに並んでますよ・・・すごいな。クルマなんて全くわからないド素人さんから、これだけたくさんのコメントを頂戴する。これこそがトヨタが仕掛けている「注目を浴びる」ってことなんでしょうね〜。先日発表されたポルシェ718ボクスター/ケイマンなんて、残念ながらド素人さんの食い付きは皆無で完全に無視されてますから・・・。

  268万円〜の設定に関して「価格が高過ぎる」という声がもちろん多いです。たぶん268万円が高いというだけではなくて、「ガチで買う気になると最上級グレードが欲しくなる」「値引きが辛過ぎる」「アフターパーツのことも考えると頭が痛い」などなど個々にニュアンスは違うと思われます。2012年の「86」発売の1年後くらいから自動車保険制度が大きく改定されまして、保険を何度も使うと車両保険に加入できなくなる恐れがリアルにでてきました。人的損害などは保険業界の使命として出来るだけ引き受けますけども、スポーツモデルの車両保険までは面倒見れないよー。基本的にはサーキットで派手にやっちまったら自腹で直すのが当たり前(正論です)!!という時代ですから、スポーツカーを愉しむハードルは予想以上に高くなってます(ネット上には車両保険無しでスポーツカー買って数日で全損したという不幸話がたくさん転がってますよ・・・)。

  「価格が・・・」という声には、まだ納得ができますけども、「86は安っぽいからもっとスゴいの作れ!」という暴論は完全に理解不能です。トヨタもRC-Fとか作ってるのに。中には「8000万円くらいするスポーツカー作ってみろ!」といった挑発的なものもありましたが、これはやっぱりド素人な小金持ちのオッサンがポルシェ918の価格と比べているのかなー。だったらさー「86」をザガート(イタリアの名門チューナー)に頼んで8000万円分チューニングしてもらえばいいのでは? スポーツカーなんてどっかのショップで仕上げてもらうのを愉しむクルマじゃん。外装はザガートの気品溢れる完全オリジナルで、内装もベントレーやマセラティみたいな素材に貼り替えて、レバー類も全てアルミ削り出しにしてもらえますよ。これなら918やヴェイロンを所有するよりもレアなので、雑誌の取材とか殺到して一躍有名人になれそうですけども・・・。

  スポーツカーの話題に首突っ込んでくるド素人さんって、いくらか特徴がありますけども、例えば「スポーツカーといえば『911』と『ロードスター』だと思ってる」とか・・・あるあるですよね。まるで沢村慎太朗さんの本を読んだかのようなご名答ですけども、この2つのシリーズはあまりに有名になりすぎて、ちょっと距離を置きたい感じがします。どちらも価格帯が一般向けスポーツカーとややズレがありますので、この2台を軸にスポーツカーの基準を語るのは無理があるよー!!

  911はベースモデルでも1200万円とかいう法外な価格になってますが、これとほぼ同等のパフォーマンスを持つスポーツカーなんて、実際は新車で半額程度で買えます。「ジャガーFタイプ」「日産フェアレディZ」「ポルシェ718ケイマン」の3台が500~800万円くらいの価格帯で手に入ります。これらのモデルならばまずスペック面で高級セダン/SUVに遅れをとるという、スポーツカーにあるまじき失態に陥ることもなく、コストパフォーマンスでも非常にバランスが取れたモデルだと思います。

  マツダ・ロードスターは存在自体が「世界遺産」みたいなものですが、現実にはプリウスに煽られちゃいそうな貧弱なスペックですから臆面なくスポーツカーを名乗るのはちょっと疑問があります。このクルマは特に現行の4代目になってからは、「スポーツ」よりも「ライフスタイル」に軸足を置いた設計になっていますし、走行性能よりもデザイン性やオープンルーフが愉しめる「プロムナードカー」といった趣向です。最近のプリウスを小柄なオバさんが運転していると着座位置が低くてやたらスポーティなクルマに見えます。EV機能が拡充するPHVになったらもっと速くスポーティになるのかな?プリウスとロードスターの一体どっちがスポーツカーだ!?ってことに・・・なる日も近い!?

  他にも「ロータスのエンジンがトヨタ製と知って目がテンになるヤツ」とか、同じように「ポルシェのLSDは日本製と唖然とするヤツ」とか・・・いやその前に「『LSDって何?薬物?』とか意味不明なコト言い出すヤツ」とか。そういった低次元なオッサンの「無邪気」な誹謗中傷はいろいろな意味でエグいですね。スポーツカーの概念など、そもそもの前提が狂っているからどう反論していいか迷います。これをさらりと聞き流すトヨタさんのスルー・スキルはもちろん素晴らしいわけですけども。

  さてプリウスも86も乗り出しで300万円以上はします。これまで試してきたクルマの中でこれはさすがに300万円以上しちゃダメだろ!っていう「安っぽい」クルマを挙げていきたいと思います。ちなみにプリウスも86も300万円くらいの価値は十分にあると思います。この2台に特に感心するのがドア周りの作り込みですね。プリウスはドアの締まり具合を上質にする特殊な機構が組み込まれています。これ乗ったあとにメルセデスのFFモデルなんか乗ったら「プレミアムブランド」のメッキが見事に剥がれ落ちるはずです!!

  86に関しては車体剛性でドアの質感も良いんですが、ピラーレスなドアのウインドーがドアを締めると同時に外側に押し出される機構が付いてます(バブル期の遺産か?)。これはどちらも「試乗スペシャル」な装備なのかもしれないですけど、BMW7erやホンダレジェンドのハイテク機構みたいな満足感がありますよ。それに対して「安っぽいな〜」ってモデルはですね・・・。

  まずは「メルセデスA250シュボルト」(見積もり500万円)ダメなところは、ペダルフィールがクソ、ハンドリングが酷い、足回りが刺々しくて、とてもワインディングでという気にはなれません。ツアラー失格。街中でお迎えや買い物ように使ってスーパーの駐車場でちょっと目立つだけのクルマが見積もり500万円でしたー。

  続きまして「スバルWRX S4」(見積もり430万円)ダメなところは、乗った瞬間にインプレッサ(160万円)と同じ雰囲気。シート調節幅がCセグ水準でしかない。ウルサイし、揺すられる(特にビルの方はゲロゲロ)!・・・まあ私の体質に合ってなかったのかな。

  それから「VWゴルフGTI」(見積もり460万円)ダメなところは、WRX S4と同じように乗った瞬間にテンションが下がる。すぐに降りたくなる内装。しかし走ってみると、なかなかの爽快感・・・日本車とは違う!とか思わず言いたくなる気持ちもわからんでもない。カローラみたいな内装のクルマが220psで走るわけだから当たり前といったら当たり前ですけどね。内装はいろいろ安っぽいですけど、走りはなかなかでしたよ。

  ほかにも「クラウンロイヤル」の木目の内装とか、「ティアナ」や「マークX」のベージュの内装色とか、まあいろいろと300万円以上のモデルにも「安っぽい」要素ってたくさんあります。トヨタや日産の高級セダン全般に言えるのですけども、「レクサスIS」や「スカイライン」の足踏み式サイドブレーキなんかも一気に買う気が失せましたね〜・・・。86のサイドブレーキの方がよっぽどいいな。「86」と「プリウス」はレクサスもびっくりなくらいに素晴らしいです!!!なんといってもトヨタの「ブレイクスルー」能力の高さがそのまま形になった名車だと思いますよ!!


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