2016年12月26日月曜日

マツダとスバルとメルセデス 月販5000〜10000台の攻防。

  この前もどっかの雑誌で「二大国産ブランド」とか称されていて、「ものづくり復活」を掲げる日本の第二次産業の精神的支柱になっているマツダとスバル。この2〜3年の間で何度となくこの2ブランドの比較が巻頭特集となっているのをしばしば見かけますし、話題の乏しいカーメディアにとっては、もっとも集客力がある重要なコンテンツへと成長したようです。

  「トヨタと日産」「メルセデスとBMW」といったこれまでの定番のメーカー(ブランド)構図と比べても、それ以上にさまざまな歴史と伝説を作ってきた両メーカーですから、書くネタは結構いっぱいありまして、僭越ながらも私の「マツダ・アテンザ」というブログも4年余りで300記事以上も書きましたが、まだまだ触れていないマツダの魅力がたっぷり残されているなと思う次第であります。マツダもスバルがこれまで成し遂げてきた偉業の中でも超有名なものを列挙するだけでもアレコレと多岐にわたりますし雑誌1回の特集で全てを網羅なんて到底に無理ですし、書く方も読む方も大変です。

  どちらも「ルマン24時間」と「WRC」という欧州が本場の完全アウェーなレースで地元勢を相手に「歴史的勝利」を掴んだことが素晴らしいですね。ディープインパクトやオルフェーブルでも勝てない凱旋門賞で日本馬が勝つみたいなものです。いくら日産時代の水野さん率いるチームがレースで異次元に強かったといっても、それはあくまで日本のレースでの話じゃないですかー。欧州に挑んでそこで認められるってのは。立派だなーと思うわけです(水野さんのP10とスカGは欧州人気がとにかくスゴかったらしいけどさー)。

  今のところトヨタが圧倒的優勢な日本市場ですが、2016年はホンダ&日産の見事な復活劇が見られました。「ジェイドがコケた!!」と手を打って笑うライター(K沢氏)もいますけども、ヴェゼルの大ヒットに続いて、オデッセイHVとアコードHVに使われる上級ユニットの完成度が高く、見事に登録車だけで月30000台を突破。一時は壊滅的だった3ナンバーの販売も月10000台を大きく越えてきました。さらに下半期に爆発したのが日産でセレナ・プロパイロットに続いてノートe-POWERの投入でトヨタ車が独占していたランキング上位ベスト5に食い込んでいます(11月は1位を奪う!!)。

  カーメディアでは「お先真っ暗」とまで言われていたホンダや日産が見事なV字回復。それに対してマツダやスバルは好調過ぎた前年比では苦戦が続いていて昨年比2ケタ減が続いています。なんじゃこりゃ!?カーメディアから全方向的な讃辞の嵐(高級感だけはイマイチ?)なのに、失速し始めた日本販売の低迷は止まらず年末を迎えてしまいました。このまま不調が2〜3年続けば日本市場から揃ってフェードアウトなんてことも・・・。カーメディアがなり振り構わずにベタ褒めしたために不必要にハードルが上がってしまって、その結果ユーザーがディーラーで試乗した時の印象がイマイチ盛り上がらなかったりするのかも。

  なんでもかんでもメディアのせいにするな!!と言われそうですけども、マツダやスバルの「どこが」素晴らしいのか?それを「的確」と言えるレベルで表現できているレビューなんてほとんど見た事ないです。いやライターの力量の有無とかの話ではなくて、以前と比べてマツダもスバルも神経質なまでに「弱点を潰す」クルマ作りをしていることもあって、ちょっと乗ったくらいではそれほど「強烈」な印象は残せなくなっているようですね。いくらプロのライターといえどもここまで個性が薄れたらもうお手上げだと思います。

  期待して乗ってみるも実際の印象は「あれ?」といった感じ、けれども様々な項目のパラメータ値は概ね高いので総評として好評価を付けているんでしょうね(だから伝わらない)。スバルもマツダもメルセデスやトヨタとのキャラの違いを的確に掴むのは難しくなっているのは確かだと思います。スカイアクティブ以前のマツダならトヨタとの違いはハッキリしていて、誰が乗っても全く別のクルマだったんですよね〜・・・ディーゼルエンジンなんて無くても全く別のクルマでした。

  マツダ・スバルは何が変わったのか?もちろん確信なんてないですけども、マツダに関してはブレーキの効かせ方にメチャクチャ神経使うようになってますね。ガソリンとディーゼルではブレーキの特性がハッキリ違う設定になってます車重の違いもあるけど。2012年より前のマツダ車はブレーキ技術(違和感なく停める)をマスターするのにやや時間掛かりました。トヨタ車なら適当に踏んでも「効き過ぎ」ってことはなかったですけど、マツダはドライバーにブレーキを勉強させようとしていたようです(ポルシェ的)。

  誤解を恐れずに言ってしまえば、スカイアクティブになってからマツダは「ポルシェ的なブレーキがBMW的になった!!」。それくらいにハッキリと変わっていますが、これをカーメディアでプロのライターが同じように表現したならば、ちょっと物議を醸すでしょうね。マツダの例えにポルシェだのBMWだの使うな!!ってことです(私のブログにもたまに脅迫が来ます)。マツダの進化に関しては味が落ちるという意見もあれば、乗り易くなったという意見もあるでしょう。そこをアクセルのオルガンペダル化で良い評価に持っていってますね(たしかに足が吊ったりはしなくなったけど)。

  マツダやスバルの販売台数減は、多くの人は車両価格の上昇が原因だと指摘しています。多少減少していても日本市場単体で「利益2ケタ」が現実的な目標になっているのでそれほど株価を心配する必要もなさそうです。すでにマツダ12万台もスバル9万台だとするとグローバル販売での日本比率はほぼ10%程度です。日本ではこの5年余りでほぼ横ばいなのに対して、グローバルでは50~70%程度の増加になっているようです。この数字はメルセデスやBMWにもそのまま当てはまりそうです。日本販売比率はそれぞれメルセデス、BMWともに5〜7%前後で推移しています。

  マツダもスバルも値上げしていてもそれに見合った付加価値を打ち出してはいます。インプレッサの価格はVWゴルフとほぼ同等。アテンザの最上級グレードは400万円を越えていよいよBMW3erと価格が被ってきました(3erが安くなっている!!)。多くのユーザーはまだまだ「日本車なんだからドイツ車より3〜5割は安いもんだろ!!」って思っている中でこの価格設定は、当然に軋轢を生むでしょう。

  「いままで頑張ってきたから自分へのご褒美でメルセデスだ!!」ていう50歳代の男性もいれば、30歳代の女性もいます(知り合いに・・・)。「そんな市場で勝負する準備がマツダやスバルには出来ているだろうか?」なんて考えながら、インプレッサに乗ってみるといろいろな発見があるんじゃないですかね。マツダの新しいCX5にも早く乗ってみたいですね。どれだけマツダの味が「消されて」しまっているのか!?もうこれはマツダではない!!と言わせる仕事ぶりも積極的に評価してみたいと思います。ただし新しい基準はメルセデス&レクサスですが・・・。


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↓とうとうマツダ専門誌(季節刊)が出来ました!!まだ創刊号ですが専門誌の面白さで勝負ならマツダ>スバル(スバルマガジン・隔月)>>>>>メルセデス(オンリーメルセデス・隔月)ですね。デザイナーから主査になった中山雅氏の秘話が面白かったです。

  

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