2016年12月20日火曜日

日本のFRスポーティセダンは滅びる運命なのかなー

  いつも見ている英国の自動車サイトの記事で、どうしても簡単にはスルーできないくらいの「魅力」を放っていた「独英伊のFRスポーティセダンの格付けレビュー」。あー!!なんでここに日本車が入っていないんだ!!残念過ぎる!!とりあえず日本で該当しそうなモデルは現行ではマークXだけですけど、イギリスではもちろん売っていないからそもそも入る訳がない・・・。FRセダンを手掛けるのは日本ではトヨタ(レクサス)と日産だけですし、現状ではトヨタは欧州軽視の姿勢、日産もルノーの商売を邪魔出来ないので勝手なマーケティングが制限されているらしく、おそらく世界中のクルマ好きが見るであろうこの魅力的なレビューに、日本の参戦車両が無いなんて・・・。

  エントリーの3台はすべてディーゼルエンジン。仮にマークXにトヨタがエンジン供給を受ける提携をしたマツダのエンジンを縦置きで積めば、回転数で圧倒しているわけですからあっさり勝てそうな気がしますけどね・・・。マツダの作るFF車だとトルクステアが発生して危ないのでディーゼルターボのトルクフルな魅力を十分に享受出来ないですけど、これがFRだったら!!!これがディーゼル車ですかい!?ってくらいにディーゼル&FRセダンの新たな時代がやってくるような、経済的かつ動力パフォーマンスに優れたマシンが作れると思うんですけどね。

  世界最良のFRミッションを持つトヨタと世界最良のディーゼルエンジンを持つマツダ。そのどちらにも全く歯が立たない程度に過ぎない縦置きミッションとディーゼルを積んだ欧州の3車ですが、なんだかんだいっても欧州市場では人気を集めてますし、北米でも中国でもそしてもちろん日本市場でも注目されています!!これは完全に日本勢のマーケティングのミスじゃないですか(トヨタ&日産)!?欧州の3台とはもうお分かりかもしれないですが・・・相変わらずの人気を誇るBMW3erと、北米で一気に階段を駆け上がったジャガーXE、これから北米へブランド再上陸を果たすアルファロメオジュリアです。

  Dセグのプレミアムサルーンを迎え撃つ日本勢といえばレクサスISとスカイラインなんですけども、もうどちらもかつてのアルテッツァやスカイライン(34型以前)のようなスポーティさ溢れるモデルからは完全に方向性が変わってしまっています。どちらも総合力は間違いなく高いですけども、あまりに全方向過ぎて、欧州車のようなスポーティという「役割」に重きを置いてシンプルに使い方が浮かんでくるクルマではなくなっています。やたらと押し付けがましい「高級感」だったり、「HV」という日本市場における常識によって1700kg台の車重が当たり前になっています。もはやどちらも「アルテッツァ」というよりは「プログレ/ブレビス」みたいな性格のクルマです(ユーザー層も!!)。

  レクサスISとスカイラインは・・・ものスゴく良いクルマなんですけども、そういうクルマは案外売れない!!と揶揄されてしまう「ゾーン」にスッポリ陥ってしまいました。HVで売ることを前提とした設計にあとから2Lターボを追加したために、エンジンの軽さを生かした身のこなしが意外に苦手で、ごくごく平凡な320iの方がクルマを振り回して走らせている感覚が得やすいですし、ワインディングでややシビアなライン・トレースでもすれば車両感覚を掴むのも320iの方が断然に解り易いです。日本人は運転が下手だからそういう趣向は要らないとバッサリ切り捨てた!!というわけではないでしょうが、結果的にその乗り味はまるで、ボデーが縮こまったクラウン!!そんな抑揚の無い走りを無意識の内にしちゃいます。これでは全くスポーティではないだろー。

  トヨタ&日産の見解は「そんなに振り回したかったら86かZに乗りなさい!!(日本人は運転が下手なんだから!!)」ってことなんだと思います。BMW、ジャガー、アルファロメオにはそういった選択肢がブランド内には無いですからねー。そして実際にクルマが好きな日本の若者は86やZに行くわけですが、わざわざ販売台数が少ないスポーツカーをちょい割高な価格で購入し、軽い車体にもかかわらず決して経済性が良いともいえないパワーユニット。さらにいうと86もZも単一エンジンなので、FRにしてはやや非力な86と、公道ではとても使い切れないZ。いろいろ冷静に考えてしまうとなかなか手が出ないクルマに・・・結局MINIやMAZDAの方が楽しいなーっていう。パワー無いならFFでしょ。出足良いし。

  BMW3er、ジャガーXEに続いてアルファジュリアも、細かく「叩けば」ホコリがたくさん出て来るタイプのクルマだと思います。トヨタのFRミッションに比べればあらゆる意味で勝手が違う「ZF8HP」。MTの本場欧州メーカーならば出足の悪さは何も問題にされないかもしれないですが、このクラスの日本車では絶対にありえないギクシャク感があります。特にその辺りのフィールを大事にしている日産やMAZDAから見れば、乗り味の上質さには雲泥の差があります。それでも多くの世界市場で、ブランド力を使ってゴリ押ししていくには十分のスペックなのだと思います。

  これから新興国で拡大するとされるプレミアムカー市場。ややロースペック気味に作られている欧州3車と、HVありきでムダにハイスペックな日本の2車はどちらが「拡販」のポテンシャルが高いか?「日本市場ならHV」のはずが、ISとスカイラインを合わせても3erの1車種を越えられないのが実情です。クルマは素晴らしい。けれども負けは負け。オッサン向けに作った日本勢がオッサンしかいない日本のセダン市場で負ける・・・。これはもう屈辱以外の何者でもないですね。メルセデスとガッチリ提携している日産には、今後もうこれ以上は望めないかもしれません(メルセデスはスポーティに興味がないから)。

  トヨタはただちにマツダと提携してFRの共通プラットフォームを共同開発して「マークX&アテンザ」で英国メディアに訴求しましょう!!トヨタ自慢の縦置きミッションとマツダのディーゼルが協調すれば!!トヨタの社長が望んだように、「86」に続いて「楽しいクルマ」として欧州の「本丸」に楔を打ち込むことができるんじゃないですか? レクサスとは違うベクトルを持つFRシャシーがあってもいいんじゃない?トヨタの取り巻きの評論家が内輪で「シャシー性能」の高さをやたらともて囃していますけども、一般ユーザーにはその魅力全く伝わってないですよ!!失礼ですがIS350Fスポなんて、クルマは重いし、エンジンは(それほど)回らないし。何に750万円も払ってんだろーって気分になります。

  メルセデスとアウディとレクサス、それにキャデラックが加わって「ザ・プレミアム・サルーン対決」という機運もわからなくはないですが、みんなまとめてテスラに負かされる!?のがオチですよ・・・きっと。本物の金持ちが一番たくさんいるアメリカで、本物の金持ちが投資して作っているテスラには、貧乏なドイツ&日本と旧態な米国メーカーじゃ勝てないと思います!!30年後のラグジュアリーサルーンの形態に最も近いところにいるのは、やっぱりテスラなんじゃないかと・・・。

  その反面で、自動運転なんてクソだ!!と主張できるクルマならまだまだ数十年は生き残るんじゃないかと思います。それがスポーツカーであれ、スポーティセダンであれ・・・。



  

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