2017年3月17日金曜日

新型スイフト なぜか「奪える」気がしない・・・

  第二次オイルショック直後の1981年に誕生したレーガン大統領は、日本に対して自動車輸出を規制を要求しました。前年から10%近く台数を減らされ164万台に制限された時、北米市場で日本車が品薄になり価格が上昇した!!という記録があります。

  クルマが売れにくくなった今の日本市場では、「高く売る」「安く売る」の究極的にはこの二択でしたシェアを上げることはできないんじゃないか?という気がします。もっっとも「高く売る」で成功するのは、開発グループが非常に有能で、しかも会社が全面的な支援体制を整えていて、期間も資金も十分に与えられたモデルに限られます。値上げしても大人気だったモデルといえば4代目プリウス。トヨタの全ラインナップHV化の煽りを受けて先代モデルを超えるまでのセールスにはならなかったですけども、特に乗り出しで350万円くらいする上級グレードがよく売れたようです。

  V37スカイラインも、先代モデルから大幅な価格アップにもかかわらずよく売れました。V36は3.7LのV6搭載モデルでも300万円台が中心だったですが、V37ではHVは500万円〜、2L直4ターボが400万円〜と明らかに割高になっていますが、使われているシャシーはV35以来の同じものです。V36と比べてV37にどれだけのアドバンテージがあるのか?というと、エンジンのフイールならV36の方が良かったくらい。

  大きく進化したのは「実燃費」でしょうか。7~8km/L程度しか走らなかったクルマが、11~12km/Lくらいになっています。あとは0-100km/hを5秒台で走る俊足もポイントが高いのかも。確かにヤバいくらい速いです。トヨタと日産がプライドをかけて作成した最新ユニットを搭載したプリウスとスカイライン。しかもどちらも発売日を延期して仕上げに十分な時間をかけました。

 

  トヨタ、日産に対してスズキは・・・というサゲサゲな話になっちゃうわけですけど。高級車を持たないスズキにとっては、プリウスやスカイラインに詰め込まれたような技術は必ずしも必要ではなく、当然に販売戦略も違うものになるはすです。先代の3代目スイフトが大成功したこともあって、「日本製の走りのコンパクト」としてファンも増え、新型に対しても非常に期待が高かったです。スズキのラインナップでは花形になるモデルですから、世界をびっくりさせる何か?が出てくると思いましたが、バレーノのターボと、ソリオのハイブリッドが一気に追加されたという想定の範囲内の決着でした。

  新型スイフトのバックオーダーは4000台程度にとどまっていますが、ほぼ同時期に発売されたC-HRが10倍の4万台を受注したようです。C-HRもハイブリッドとガソリンターボを導入していますが、どっちがどっちをマークしたのかわかりませんが、スイフトとC-HRではある程度は戦略が被っています。結果としてスイフトが目指しそうなことをC-HRが全部やってしまった!!C-HRがなんだかスイフトの上位互換機のような雰囲気すらあります。実際にコンパクトカーでは「不満」なユーザーを狙い撃ちするのがB/CセグSUVなので、トヨタは戦略通りにC-HRを仕上げてます。開発者のコメントにも、「他からユーザーを奪えるモデルを目指した。」とはっきり出てきます。

  スズキとしては「スイフト=スポーツ」が登場してから一気に巻き返すつもりのようで、C-HRの1.2Lターボを上回るスペックの新開発1.4Lターボが1000kg以下の軽量ボデーに搭載されれば、マツダ・ロードスターを上回るパワーウエイトレシオ?十分に可能です。アルトに「ターボRS」と「ワークス」が投入されてから、ベースモデルも人気になったように、スイフトの本格展開はまだこれから・・・なのかもしれません。果たしてアルトの二番煎じは上手くいくのでしょうか?(ノートe-POWERが強敵では?)・・・(税金も半分だし)アルト・ワークスでよくない!?というユーザーもいるでしょうけど。

  もちろん「スイ=スポ」を楽しみにしているユーザーもたくさんいるはずなので、安易な路線変更には困惑しますけども、C-HRなどスズキ・ラインナップのライバル関係の変化を踏まえて他から客を奪ってくるモデルを作って行かないと、スズキの普通車販売はジリ貧から脱することが難しいでしょう。「スイ=スポ」と同じタイミングで「エクスード=スポーツ」と「イグニス=スポーツ」を出すことで、デザインの好みで選びやすい若者ユーザーを上手く取り込めるでしょうし、デザインのバリエーションを持たないノートe-POWERに対しても優位に立てるのでは?・・・あるいはフィットやアクアから「奪う」こともできるかもしれません。



  

  


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