2017年4月25日火曜日

トヨタ・ハリアー 「レクサス併売車のクオリティ!?」

  「すごい良いクルマなんだけど、とてつもなくダメなクルマ」・・・は?何を言っているんだ!!って感じですけども、人間だって「すごく良い人なんだけど、とてつもなくダメな人」っているじゃないですか。だいたい男の8割くらいはその括りになるんじゃないかと・・・。クルマも同じで「良いけどダメ」というのが本音の感想というのがほとんどなんじゃないかと思います。「好きだけどちょっと嫌い」要はそのクルマと「付き合えるか?」という程度の問題です。クルマの種類やブランドの好みでバッサリと判断ができるケースも多いでしょうけど、かなり多くのユーザーにとって「このクルマはボーダーライン」になっちゃっている代表格が「ハリアー」じゃないでしょうか?

  肯定派にとっても否定派にとってもなんとも「微妙なライン」。このクルマに乗っている人を見かけると「なかなかいいクルマ選びだね」なんて言ってあげたくなる。SUVがとても嫌いな人でも、スタイリッシュでちょっと高級感もある「ピープルムーバー」だと割り切るならば、ほとんどののチェック項目で「優秀」な評価を持つこのクルマをあまり意固地になって否定はしないでしょう。トヨタ嫌いとかCVT嫌いとか・・・まあ文句言いたくなる面倒くさい人はたくさんいますけども、多少は大人の判断力があれば、レクサスに匹敵する質感(先代までは北米レクサス車)と他のメーカーを寄せ付けない乗り心地と静粛性は素直に評価できるはず。価格はそれなりに強気ですけども、それでもトヨタの素晴らしさが凝縮されたモデルです。

  
  そんな「良いクルマ」なら買えばいいじゃん!!なんですけども・・・。なんかちょっとずつ気になるところがあります。まずは「とぼけたデザイン」。メルセデス、マツダ、スバルそれから最近のスズキなど、比較的に輪郭のはっきりした表情を持つデザインが多い中で、・・・「?」なんだかバブルの頃のトヨタが戻ってきたようなレトロでぼやけたデザイン。プリウスのアヴァンギャルドなスタイルに嫌悪感がある人には好評かもしれません。確かにバブル期から2000年頃までのトヨタデザインは、なかなか光るものがあったなー。特に「スープラ(80)」「ソアラ(30)」「セリカ(180、230)」などスポーティなモデルが中心でしたけど・・・今のマツダなんかよりも全然良かった(当時のマツダはもっと良かった!?)。

  デザインは「OK」だとしましょう。・・・次に気になってくるのは「素性」です。ハリアーはトヨタの戦略では「ラグジュアリーSUV」なのですけども、使っているシャシーはトヨタのCセグ車をベースに広範に使われる汎用シャシーです。初代/2代目のハリアーはカムリに使われている上級FF車シャシーをベースにしていたのですが、現行モデル(3代目)になってから格下げされました。欧州向けオーリスやアベンシスに使われているリアサスの安定感を向上させたモデルを、現行のアルファード/ヴェルファイアなど日本向けの量販モデルに解禁していますが、その先鞭とつけたのがこのハリアーです。

  シャシーは「格下」になったのかもしれないですが、4輪ストラットのカムリに対して、リアがDWBに「格上げ」になっているので、ハリアーに関しては決して「コストダウン」とは言い切れないかも。ちなみにトーションビームを装備していた先代までのアルファード/ヴェルファイアは、2段階の「格上げ」を果たしています。トヨタが欧州向けに意欲的に作ったサスに変わって、誰が運転しても十分にわかるくらいに、高速走行時の挙動の安定とハンドリングのスムーズさは向上しています。リアのDWBやマルチリンクは「まっすぐ走らない!!」と批判する問題の本が最近発売されましたが、トーションビームのプリウスと、DWBのプリウスで高速道路を乗り比べれば差は歴然なんですけどね・・・。

  デザインもシャシーも「特に問題なし!!」としましょう。それでも気になってくるのは、先代のハリアーがあまりにも「華やか」だったのに対して、やや地味な立ち位置になったことでしょうか? 2代目ハリアーの発売は2003年。まだ日本にレクサスが導入される前のことです。当時のトヨタはFF車に3.5Lの横置きV6を載せるのが好きだったみたいで、アルファード/ヴェルファイア、エスティマといった重量のかさむ大型ミニバンだけでなく、1600kg台のハリアーや、1400kg台のブレイド(オーリスの上級モデル)にも搭載していました。北米向けのハイラックスだって2.7Lの直4だっていうのに・・・。

  3.5Lハリアー(2代目)は2000年に登場して北米でヒットしていたBMW・X5を意識した大排気量化(北米レクサス車ですし)で、3.5LブレイドはR32ゴルフをライバルと考えていたのでしょう。軽く半世紀以上にわたるトヨタ自動車の歴史の中でも、もっともクレイジーなモデルが発売されていたのが2006〜2008年頃ですね。リーマンショックでクラッシュする前夜くらい。その頃のハリアーの「ぶっ飛んだ」設計に比べれば、現行ハリアーはちょっとオシャレなお年寄りに乗って欲しいクルマなのかな?なんて思えちゃうんですよね。デザインも先代の方がアグレッシブだったかなー。




  

 

2017年4月19日水曜日

トヨタ86 「NC指定」

  トヨタがスバルに開発させてグローバルで絶賛されているスポーツカー。何といっても「86」というやや掟破りで「ヤケクソ的」なネーミングなんですけども、発売から5年が経ってもまだまだバカ売れ!!これはもうどんなネーミングでも売れたんじゃ無いか?と思いますね。圧倒的な企画力が素晴らしいです。日本で人気のある「GT-R」や「M4」といったスポーツモデルに、わざわざ寄せて作ったりしなくてもスポーツカーは十分に成功する!!ということを示しました。

  発売当初から多くの有名ライターが懐疑論を連発して浴びせました。素人が書く掲示板には「何でターボが無いんだ!!」「リアシートはいらない」「標準タイヤがプリウスと同じ」などなど、最大手メーカー・トヨタゆえのアンチがたくさん現れました。それらの中傷を一通り目にした結果、頭の中を「86」に対するマイナスイメージで充満させてから、勇躍して試乗に行ったからなのかもしれませんが、このクルマは印象が全くといっていいほど悪く無いんですよ。何度か乗りましたけど、毎回「これは楽しいぞー」という素朴な感想が・・・。別に車重を無理に1000kg前後にまで下げる必要はないですし、ターボ化して馬力&トルクを増幅する必要もない!!このままでいいと思います。

  「価格・実用性・楽しさ」この3つを見事に揃えてくるトヨタ&スバルには脱帽ですけども、何の前触れもなく突然登場しているモデルなので「伝統」や「ストーリー性」がないのがちょっと気になります。トヨタの社長が気まぐれで作った「ドリ車」です!!というコンセプトだけではなかなか「共感」できなかったです。トヨタのエンジニアが出世のために、社長が「ドリフト」するのにちょうどいいクルマを作ってみた!!そういうお遊び企画に無理やりスバルを巻き込んだ!!カネでスバルの顔面を叩いた!!・・・少なからずそういう見方をしてました。

  しかしこのクルマの本質は・・・いよいよわかってきたんですけど、これ安易にバカにしちゃいけないモデルですよ!!そもそも「GT-R」や「M4」こそが、めちゃくちゃに高価なスーパーカーには手が出ない人々(非セレブ)が乗る、下位互換的(コンプレックス的)な存在でしかないんじゃないですかね? これは欲深い(罪深い)クルマ好きにとっては、決して「所有欲」を目一杯満たすような「理想」では無いわけです。そして案外トヨタはそんな風に冷静にライバルを分析しているんじゃないですかね?そう思える点が5年経ってやっと見えてきました。

  「GT-R」も「M4」も素晴らしいスポーツモデルですけども、そもそもポルシェ911ターボやフェラーリを、出力面で乗用車ベースの改造自動車が追いかける意義なんてあるのかな? 元日産のGT-R開発者である水野さんは、強烈な「個の主張」で日本のクルマ好きを納得させますけど、実際問題として「GT-R」と「86」のどちらがより多くの人を幸せな気分にさせてくれているのか? 確かにGT-Rが世界最速記録をマークすると、日本の自動車産業全体が盛り上がりますけど、より多くのオーナーを笑顔にさせているのは「86」の方では?

  300万円ぽっちのスポーツカーなんてさ・・・そういってバカにする人も結構居るでしょうけど、「この価格でスポーツカーを作ったことが素晴らしい」とか当たり障りのないこと言っている人々に言いたい!!このクルマの価値は「廉価」ではないですよー!!

  おそらくとっても優秀でクルマへの熱いものを持ったトヨタの開発者たちは、良くも悪くもスポーティさを追求して進化してきた「日本のスペシャルティカー」の歴史は失ってはならない!!新しいスポーツカーをその歴史が辿ってきた「集大成」を存分に表現できるモデルにしよう!!そう必死で考えた結果の「86」なのだと思います。1250kgで200psというパワーウエイトレシオは、歴代の日本のスポーティカーにおいてごくごく平均的なスペックですが、これもおそらく計算づくなんじゃないですかね。

  
  

  日本のスポーツカーは、紛れもなく「日本の美意識」によって紡がれてきたんだなー。日本メーカーの2ドアクーペはもう絶滅寸前ですけども、この系図が絶えてなくなるなんて悲し過ぎます。あまり華美なフロントデザインにしない!!これもとても大切なポイントです。レクサス、インフィニティ、マツダ、スバルどれもグローバルでの販売を目指しているから、ドイツ車だか韓国車だかよくわからない「グローバル流行形」へと収束しています。これはやはり日本的ではないです!!1960年代から脈々と続いてきた「国内専売車」で日本的デザインが満載だった「日本の」スポーティカーの美しさは保護されるべき!!

  トヨタのクルマが大好きな開発者がみんなで集まって考えた!!「日本のユーザーがとても幸せだった時代をそのまま再現したい」ということなんじゃないかと・・・。決して社長のご機嫌をうかがう「ドリフト車」を作っていた訳ではなかったんだと思います(そう信じています)。街中に「86」がいっぱい溢れたっていいじゃん!!このタイプの車が街中に溢れていた頃の日本には本当に活力があった!!あまりに過剰過ぎるセレブ御用達の600psのラグジュアリーカーなんて日本には似合わないです。カーシェアリングのランボルギーニに無理して乗っているなんてとても不健全ですし・・・。トヨタにとっては「レクサスLFA」よりもずっとずっと「86」なんだと思います。そしてそれが正しい!!と思いますね。National-Carとして長く日本で作られ続けて欲しいクルマだと思います。


2017年4月14日金曜日

スバル・WRX-S4 「いっそ名前を変えた方がいい」

  1966年に富士重工が発売した初の水平対向4気筒車は「スバル1000スーパーデラックス」と言います。スバルがRRからFFに転換した際に投入することになったことからボクサーエンジンが採用されたようですが、この50年の歴史を誇るスバルの運動性能重視のパッケージングは、この後1969年に「FF-1」へ受け継がれ、「FF-1・1300G」「レオーネ・セダン」と大きくコンセプトを変えることなく進化を続け、そのストイックな理念は、そのまま1992年発売の初代インプレッサに設定された「インプレッサWRX」へと繋がります。

  さらに3代目WRX(先代)がデビューした2007年には、欧州市場を意識するあまりにスバルがWRXモデルからセダンを一時的に廃止したところ、スバル1000の伝統を無視するな!!とばかりに、相当な数のスバリストによる凶悪な抗議(?)が殺到して売れ行きも最悪だった(GT-R&エボ10デビューと同じ年というのもあったかな?)ので、慌ててセダンを追加した・・・という顛末があったらしいです。その際にWRXに新たに設定されたのがGT-Rやエボ10にすでに装備されていた2ペダルモデルですが、これも頑固なスバリストから総スカンを喰らったようです。

 

  おそらく現行モデルで、スバル1000の精神の正当な継承車になっているのが「WRX・S4」あるいは「WRX・STI」なのですが、50年にも及ぶその歩みを考慮すれば、もっと世間に「重み」を感じさせる存在でも良さそうなんですけどね・・・。特に2ペダルのモデルに新たに名付けられた「WRX・S4」というあまりにもアイディア不足で平凡なネーミングのせいで、これまた大きく「損」をしています。先代のCVTを使ったWRXはあまりにも市民権を得ていなかったので、いっそWRXから切り離して、「スバル1000」あるいは「FF-1」という名称を復活させるくらいの「サプライズ」で話題を集めた方が良かったんじゃないかなー?(勝手な予測ですが)もっともっと売れたと思います。

  誤解を恐れずにズバリ言うならば、スバルの企画部がイメージしている「ハイスペックカー」のカテゴリー分けは、どうも世間のクルマ好きが思っているものとは大きく隔たりがあります。スバルWRXは、BMW・Mや日産が得意な「改造自動車」ではありますが、それらよりもはるかにスポーツカー寄りの立ち位置にあります。ラリー競技のベース車両として世界に広く認知されている故に、改造自動車の限界を超え、存在そのものがスポーツカーになっています。そんなWRXを2ペダル仕様でラグジュアリーに仕立てることで、無理やりに「GTセダン」として売ろう!!という目論見自体は悪くないですけども、誰でもすぐにWRCを連想する「WRX」の名称のまま売る意味がさっぱりわからないです。

  開発者に対して大変失礼ですし、結果論でしかないかもしれないですが、このクルマを試したときに、「サイズ、価格、パフォーマンス」だけのクルマだなーって感想でした・・・大して売れないだろーな。とりあえず「S#モード」でベタ踏みすれば、なかなかエマージェンシーなエンジン音が響いて、こんなギミック一つでも十分に「スポーツセダン」だなと納得しますけど、それよりも気になったのが、運転支援の要素が出過ぎてて、子供が補助輪を取った自転車を大人に支えられながらペダル漕いでいるような「過保護」なイメージが強すぎりことです。4800mmクラスになったレガシィB4にこのような手厚い運転支援なら納得できますけど、4500mmのミニサイズにここまでされると「高齢者向け」という思惑が透けて見えます。(実際にそうなんでしょうけど)

  いくらターゲットが引退世代だからと行っても、長年いろいろなクルマに乗ってきた相当に「クルマが好きな人」がユーザー予備軍でしょうから、若輩ものの私が感じたのと同じかそれ以上に「過保護だなー」って感じるんじゃ無いですか? それを想像するだけでも「ユーザー本位で企画する視点が大きく欠如した」と断罪したくなります。350万円のクルマでこれは無策すぎる!! それに輪をかけるように愛情不足な仕事ぶりを感じる点がいくつもあります。

  ハンドリングはAWDですからある程度は仕方ないですけどだいぶ「退屈」です・・・これはSUVか!? そしてダンパーを使い分けて「グレード分け」をしていますから、試す時にはいつも以上に乗り味に神経が行きますけど、どっちもあまり感心しない出来栄えで、これが相当に印象を悪くしてくれます。古いプラットフォームだからポテンシャルもこんなものなのかなー・・・。レヴォーグもそうだけど、基本的な部分をアメリカで開発した弊害なんじゃないですかね。繊細な味の日本車に乗り慣れていると余計に落差を感じます。

  もちろんスバルにとってもそんなことは百も承知なようで、販売ボリュームが大きいレヴォーグに関しては、足回りを徹底的にやり直した「レヴォーグSTI」を、ちゃっかりとラインナップしてたりします。「落ち着いて乗る人のためのSTI」などと、なんとも白々しいこと言ってますねー。しっかり修正ができるんなら最初からやればいいのに!!レクサスや日産の栃木モデルは最初からきっちり仕上げてくるのに、スバルやマツダの新型登場時は、ほぼ例外なく足回りの仕上げにブレが生じてます。現行のフォレスターとアクセラの初期モデルはほぼ「事故」でした。後期モデルになって相当に改善されてますから、どちらも今が買い時。

  団塊世代の大量引退にターゲットを絞ったクルマ。WRX・STIよりも肩の力を抜いて楽しく乗れて十分にスポーティなスペックの「スポーツセダン」。おそらく目指すところは日産GT-RやBMW・M3のリーズナブルな「互換モデル」なのでしょうけど、スバルの看板モデルとは思えないくらいに、車の出来がどうもフワフワしていて、乗っても特に「何も感じない」し、このクルマに乗っても「人生のステージ」が上がるという予感もない・・・いわゆる「痛い」クルマになってしまいました(開発者の皆様ごめんなさい)。「WRX」のネームバリューで訴求すれば、GT-RやM3と同じステージに立てると単純に考えたのでしょうか? それを挽回するかのように、昨年に期間限定受注で登場したのが「S4・tS」というモデルです。


  レヴォーグSTIでは、足回りの不甲斐なさを修正してきましたけど、このS4・tSはスタイルとパフォーマンスをもっと刺激的に(スポーティに)したコンプリートモデルでした。業績好調で、限られた生産枠で作っている事情もあるのでしょうが、レヴォーグSTIとは別のタイプのユーザーを満足させるべく、逆方向に持っていきました。「ターボ・スポーツ車」の魅力を引き出すパッケージで、BRZともしっかりと距離を置いてます。これならGT-RやM3の「互換」にもなれそうです。一瞬で売り切れたS207もそうですが、リセールを考えるとかなりお得でしょうし、スバルを買うならSTIのコンプリートモデルにしとけ!!ってことなんですかねー。

  さてノーマルのボンクラな「WRX-S4」をいっそ「FF-1」に改名したらどうですか?スバル1000の正当な後継モデルとして、競技車両の色合いを薄めたモデルを、欧州の伝統あるブランドのように作り続けるのがいいと思うんですけどねー。余計な御世話ですけども。(今後のスバルには注目してます!!)




  

2017年4月5日水曜日

レガシィB4 「スバルの孤独な戦い」

  2014年に登場した6代目レガシィ。この世代から日本市場での主力だったツーリングワゴンを切り離してレヴォーグとして発売したため、レガシィは一気に日本での存在感を失っている感じです。私だけでは無いかもしれませんが、さらにレガシィB4にネガティブなイメージを持つきっかけとなったのは、全く不人気だった5代目B4の販売が終了するときに、警視庁にパトカーとして相当の台数を納入されてたからですね。街中であまり会いたく無いのに見かけることが多いです。一般ユーザーはほとんどいないのに、もっぱら警察車両として使われるセダン。スズキのキザシ・・・。そんなこともあって直後に登場した6代目レガシィB4にも「負」の先入観がありました。

  レガシィは2世代ごとにクルマのコンセプトが大きく変わります。「花の1989年組」の初代は世界的な大ヒットというセンセーショナルな登場をしました。1981年にはすでにレオーネツーリングワゴンとして原型が成り立っていましたが、それが新型モデルとネーミングのインパクトで広く認知されるようになりました。レガシィのスタート地点はほぼ「ツーリングワゴン」と言って間違いではないですが、1971年に登場した初代レオーネはクーぺ&セダンでしたし、それ以前に遡ると1969年のスバルFF-1、1966年のスバル1000となりスバルのフラッグシップ・ラインを形成してきました。

  そのまま年代で合わせていくと、レガシィへと繋がる一連のモデルは、ホンダ・アコード(1976〜)はもちろんマツダ・アテンザの原型となるカペラ(1970~)よりも歴史があるんですね。さすがに「ノイエクラッセ」以降に登場した1961年登場のBMW1500(のちの3er)には「歴史は」及ばないですけども、レガシィと3erの現在地を比較するならば・・・日本では3erが優位。北米ではレガシィが人気。ブランド力とか価格差とは無視できないですけども、ミドルクラスセダンとしてよりラグジュアリーな質感を持つのは・・・。

  アメリカで売れているのが正義!!はちょっと強引かもしれないですが、やっぱりBMW3erには大きなハンデがありますね・・・「駆け抜ける喜び」から切り離してクルマ作れないですから。レガシィB4が目指す上質なセダンにおいては、開発時におけるハンドリングの優先度は低いみたいですね。「そんなクルマいらねー」と言ってしまうスポーツセダン大好きな人々もそれなりにいるでしょうけども、今じゃマイルドなスポーツカーが「ノーマル」なエンジン載せてスバルの工場でもライン生産されている時代ですから、上級モデルを意識したセダンとは切り離して考えるべきか・・・そういう意味でスバルがやっぱり正義?(BMWには5erがある!!)

  歴代レガシィの進化を見ると、初代&2代目はツーリングワゴン人気で独走し、1998年に登場した3代目&4代目は当時のスポーツセダンブームに乗っかるようなスタイリングを展開。E46型3erやアルテッツァ(レクサスIS)、アコード(6代目CF)の人気を意識した設計でした。BMWもレクサスISもこの世代のイメージにまだまだ囚われたままですが、レガシィは2009年の5代目でボデーサイズを拡大してアメリカで人気を得ました。同じような路線を採ったプジョー508、マツダアテンザ(2代目GH)、VWパサートが苦戦する中で、レガシィ(5代目BM)だけが羨ましいくらいの大成功を収めました。

  世界はハンドリングにこだわるプジョーやマツダではなく、直進安定性においてFRのプレミアムセダン勢に圧倒的な差をつけることができるAWDを信じて、それで勝負したスバルの戦略の先進性が・・・だんだん私のような「ど素人」にでもわかってきました。カムリやアコードは日本ではすでにHV専売モデルであるように、日本におけるセダンの慢性的な販売不振に対して各メーカーは相当な強硬策を採っています。結局は乗り心地追求のために1500~1600kgまで膨れ上がった車重に見合っていて、動力性能と燃費を両立させて受け止められるパワーユニットを「日本基準で」作ることに無理があったとも言えます。

  ハイブリッドかディーゼルターボか・・・というソリューションをレガシィも6代目では採用してくると思いきや、欧州向けの水平対向ディーゼルを廃止!!わざわざ自社開発したハイブリッドシステムもレガシィには投入されず!!という度肝を抜く「逆張り」戦略です。残ったガソリンターボはスバルの得意分野ではありますがレガシィからは排除!!もはやこの段階で「スバル圧勝」の結論が出ていたのか? トヨタやホンダはHV投入の元が取れてないですし、メルセデス、BMW、マツダ、ボルボ、プジョーはディーゼル投入でやっとモデル存続が図れるギリギリの水準に喘いでいます。ガソリンターボ(直4)は・・・(高級車のユニットとしては)論外。

  全く何もしなかったわけではないでしょうけども、日本向けの全てのレガシィB4に搭載されている何の変哲も無い「2.5L自然吸気(FB25)」エンジンの水平対向、シュートストローク、ポート噴射が圧倒的な「キレ」を生み出しています。「CVTは嫌い」が合言葉だったクルマ好きをも黙らせる「感性豊かなエンジンによるピュアな走り」が実現しています。ディーゼル勢の力強いけどややフワフワしたレスポンスや、アコードの緻密すぎるモーター加速も、ある程度はセダンの魅力を引き出してますけども、下から上までアクセルに対して「納得の筆致」でついてくる自然吸気180psユニットはやっぱりいいですね。

  ショートストローク、自然吸気、ポート噴射といえば、日産のVQ37もありますが、フロントヘビーなFRという仕上げの車が多く、しかも採用車種がフーガとZのみで、ミドルクラスには設定されていません。マークXに使うトヨタの3.5L(2GR)は、直噴&ポートの併用になっていて思った以上にはスッキリと回らないです(ターボに比べればずっとマシです絵けど)。ちなみに官能領域エンジンへの日産の情熱は素晴らしくVQ37の後継となるVR30DETTも素晴らしい出来栄えなんだとか!!日本でもスカイラインで売ってください!!余談ですが直噴化を全世界で推し進めた某ドイツ系サプライヤーは、近年はタカタ以上の茶番を繰り広げていて、エンジンに対する考え方もだいぶ変わってきて、スバルや日産にとっては追い風かもしれません。

  全車AWD、パワーシート&シートヒーター(前後)、アイサイトは全グレードで標準装備。「レガシィに乗る人にふさわしい装備」ということなんでしょうね。スバルが見通すミドルセダンの未来は、「21世紀的バブルカー」な装いです。2019年にはいよいよ次のステージのレガシィが登場するみたいです。スバルがパワーユニットを放り出してでも開発を優先した新型プラットフォームが使われ、現行レガシィB4の数少ない弱点である、動き出し時の微細な振動と低速での操舵もかなり修正されるでしょう(インプレッサはその部分の進化が著しかった!!)。

  直噴化しないままの自然吸気フラット4を、AWD(のための縦置き)と、低重心化のためのユニットとして使い続けるとすると、フロント前部の下方暴れるエンジンを抑え込むためにサブフレームとサス剛性の強化は不可欠で、新型シャシーではその問題に的確な対応をしたと思います。だけどもエンジンスペース上の制約でフロントにはストラットしか使えない・・・。この辺をどのようにクリアしてくるかが、次のレガシィB4の見どころでしょうか。もちろん先代から継続で熟成されてきた現行モデルも価格を考えるとびっくりなくらいにお買い得なのですけどね。

↓4代目BP型 (4人のコメントは失笑ですが)とりあえずスポーティ・・・


↓ウゼー・・・5代目BM型


↓日本にもフラット6を!! 現行の6代目BN型