2017年5月17日水曜日

ホンダ・オデッセイ 「理念のクルマから、納得のクルマへ」

  F1参戦中のホンダの評判が悪いです。まあ実際に弱いから仕方のないことですが、エンジンを供給するマクラーレンやそのマシンに乗るフェルナンド=アロンソからの批判や皮肉がF!開催ごとに同じような内容で日本のメディアから報道されていて、「またかよ・・・」と報道以外にも意図があるんじゃないか?なんて気分にさせられます。あれ?WRCのコルシカ(4th)、アルゼンチン(5th)でヒュンダイの前に手も足も出ないトヨタへの批判はあまり見かけないよなー。なんだこの扱いの差は!?

  1970年代に最後方から一気にごぼう抜きをして躍進、二輪工場がアメリカにあったことから、真っ先にアメリカで四輪車の製造を始め、トヨタに先行してアメリカ地盤を築きます。レクサスよりも先の1986年に高級車ブランド「アキュラ」を北米に設置しているなど、日本ではあまり知られていない実績を積み上げた結果、創業者の本田宗一郎はアメリカ自動車産業の「殿堂入り」を果たしています。

  誰の目にもトヨタやヒュンダイの北米戦略はホンダの模倣だと思うのですが、ヒュンダイはホンダのパクリと言い放つのに、トヨタをホンダのパクリとは誰も言わないのはなぜなの!?(今更ですが)これがメディアの力ってやつなんですね。なんでニューモデルマガジンXは今も「フィット・リコール事件」を追い続けるのか? 確かに「日本車ならば安心」という信頼を根底から崩壊させかねない出来事だったとは思いますけどねー。

  さらに不可解なのが、ホンダがここ数年力を入れている軽自動車に関しては非常に評価が高いことです。「ホンダは軽自動車をつくるのがちょうどいい。」・・・そんな意識がカーメディアに蔓延している? そしてそんな評価をホンダが自ら受け止めて、逆手にとって利益を獲得しているように見えなくもないです。日本人は「軽自動車のホンダはすごい!!」と言いますが、北米や欧州で軽自動車を販売しているはずもなく、世界ではホンダの中型の3モデル(アコード、シビック、CR-V)で、大半の実績を稼いでいるんですけどね。

  軽自動車のない世界のホンダにおいてボトムを担うフィットにしても「安いクルマ」というイメージがありますけど、スズキ、VW、ルノー、フィアットが参入するインド市場(50万円市場)には参戦していません。VW、ルノー、フィアットは日本で販売活動を活性化させていますが、少なくともインドで1台売るよりも4倍以上(200万円以上)の売り上げが確保できる日本市場はまだまだ捨てがたい魅力があるようです。ホンダにとっては主力の中型車がなかなか売れない日本市場はしんどいみたいです。フィットとヴェゼルはよく売れているのですが・・・。

  日本に導入されている中型モデルは、プラットホームベースでは現状はアコードのみです。オデッセイ、ジェイド、ステップワゴンそして新たに導入されるシビックtypeRは、VWのMQB、トヨタのTNGAと同じようなホンダの小型車汎用プラットホームが使われているようです。面白いことに、北米向けシビックと日本で新たに作られるシビックはアコードと同じ中型車シャシーになります。なんと紛らわしいことでしょう・・・。

  北米展開されている中型車プラットフォームは、各ジャンルで北米NCAPで頂点を取っているので、安全性は太鼓判です。日本ではスバルが安全だと思っている人が多いようですが、北米での成績は圧倒的にホンダ!!次がマツダ。この2メーカーが際立っています。ホンダの魅力ってここじゃないの? しかし小型車プラットフォームで作られているフィットやフリードも、JNCAPを見るとプリウスやVWゴルフといったライバルメーカーに対して優位だったりします。MQBやTNGAを使うモデルに比べて、フィットはレベルが低いかのように捉えられていますが、エンジンや安全性などを吟味すれば150~200万円の価格設定は妥当ですし、性能面でなんら劣ったところはないです。

  その「小型車プラットフォーム」を使った最上級車が現行のオデッセイです。先代まではアコードと同じシャシーを使っていたのですが、アコードの「大刷新」のタイミングで、エリシオンとオデッセイを統合するという「ファン不在」の改革が断行されました。なんで「大刷新」で「ファン不在」かというと、先代までのオデッセイはホンダの技術の「塊」みたいなクルマだったんですよ。Vテックと4輪DWBを装備したオデッセイとアコード。こんなの出されたら他のメーカーはもう手出しができないですよ。ホンダの成長戦略において大きな意味があった「ハイテク」でした。これをベースに車体を拡大してSH-AWDを組み込んだものが先代レジェンドでした。

  Vテックとはエンジンに付随する吸排気システムです。これを原動力にホンダはロングストロークエンジンをフェラーリなどに匹敵する9000rpm。もちろんフェラーリはショートストロークですから、これ結構すごいことです。世界の一流メーカーはこのホンダに勝つために極限までシリンダーのピストン速度を上げます。アウディ、BMW、アルファロメオ、トヨタ(ヤマハ)の4グループがVテック対抗の高回転化に挑みましたが、結果的には泥沼の消耗戦に突入し、リーマンショックがそこに襲いかかります。

  ホンダとしてもこれ以上の高性能化は先が見えないですし、多額の開発費をかけても搭載するモデルが北米でも日本でもせいぜい300万円前後のアコードとオデッセイですから、もはや創業者から引き継いだ「理念」や「ロマン」だけで続けることは無理だったのだと思います。「ホンダ1300」以来、あらゆる市販モデルの頂点は「ホンダであるべき」という伝統は、700万円するレジェンドに引き継がれました。北米中型車プラットフォームでも4輪DWBを諦め、エンジンも1.5Lターボへとシフトしていて、頂点ではなくて合理的に市場のライバル関係を見据えた設定へと変わっています。

  その中で、日本&欧州向けの小型車プラットフォームへと振り分けられたオデッセイですが、2L級のVテック自然吸気が残る唯一のモデルで、HVにはアコード用の2Lの2モーターシステム(i-MMD)が搭載されています。またまたややこしいですね。とりあえず乗ってみるとアコードの方がいくらか静かでハンドリング・加速性能に優れていますが、これはシャシーというよりボデータイプによる差かな?と思います。

  トヨタのTNGA新型車であるC-HRの売りの一つはザックス製ダンパーですが、オデッセイは2013年からすでにザックス採用しているんですけどねー。ザックス大好きな国沢さんですが、オデッセイにはなかなか言及してくれないですねー。ちょっと前にカーメディア業界を揺るがす大騒ぎになりましたが、やっぱりVWやトヨタから何かしらの依頼を受け取っているんでしょうか?

最新投稿まとめブログ

↓Vテック&4輪DWB時代のアコード最終モデル。163万円でBMWを圧倒します。
  

  

  

0 件のコメント:

コメントを投稿