2017年6月8日木曜日

マツダ・アテンザワゴン 『主役になりきれない!?境界の・・・逸品』

  『帯に短し、タスキに長し』あんまりテキトーなことを言うべきではないとは思いますが、とても良くできているのに日本市場では誰が買ったらいいのかいまいち判然としないクルマがたまにあります。アテンザワゴン、レガシィアウトバック、ジェイド、エスクードなどなど・・・。そして誰かが囁いている!!今のマツダにぴったりの故事成語は『邯鄲の歩み』だと!!


  特にアテンザワゴンは、2012年のデビュー後に、なかなか市場に定着できないままに5年が経過しました。レヴォーグやCLAシューティングブレークによって狭いワゴン市場はあっさりと抑えられてしまった感が・・・。スバルとメルセデスによる先進的なイメージを持つ2台のワゴンに比べて、アテンザワゴンはやや古典的な佇まいです。これを買うべきか迷っているユーザーは、ちょっぴり『流行に乗り遅れた』ファッションで外を歩くようなドギマギした気分になってしまうのではないか?と疑心暗鬼になってます。

  ワゴンユーザーというのは、実はとっても『流行』に敏感。スポーツカーやクーペはドレススタイル、セダンはスーツなので、ある程度はメーカーのセンスに委ねることができますが、ワゴンはジーパン。最も気楽に選べそうで、実は最も奥が深いファッションアイテムです。売れ筋としては、100~200万円台に君臨する『カローラフィールダー』エンジンのバリエーションも選べるし、MTも選択可能。レザーシートなんてアンバランスなオプションもなく、普段着としてベストなチョイスの『ユニクロ』。

  300〜400万円台に位置するのがアテンザワゴン、レヴォーグ、アベンシス、ジェイド、CLAシューティングブレーク、ゴルフヴァリアント、308SW、メガーヌエステート220。中国縫製なのに2万円以上してステッチや裏地で差をつけてくるクラスのジーパン。・・・がしかし綺麗めのブルージーンズという立ち位置がそもそも非常に『スタビリティ』に乏しい感じがします。有名人が華麗に着こなす様子を多くの人が目にする機会があれば、狂ったように売れるでしょうし、そうじゃなければ・・・なんでジーパンが2万も3万もするんだ!?

  マツダの想定では、このグループの中では『アテンザワゴン』だけがフルDセグサイズになっていて、間違いなくお買い得だという目論見があるのでしょうけど、そのフルDセグが見せつける上級モデルとしての強烈な走りが、いまいちユーザーには伝わっていないのかなー。もちろんそれがわかっている人は喜んで買うわけですけども・・・。この走りならば3シリーズツーリングにもA4アバントにも負けないって。

  500~600万円台では、3シリーズツーリング、V60、Cクラスワゴン、A4アバントの4台です。このクラスになると『ステータスとしてのワゴン』という新しい『商品力』が生まれてきます。ポルシェ(マカン、718ケイマン)や有名スポーツカー(フェアレディZ、エリーゼ)を買えるくらいの価格でわざわざワゴンを買うという『クールなライフスタイル』にうまくユーザーを誘導しています(レザーパンツが買える価格で、綿素材のパンツを売る!!)。

  マツダとしてはなんとか『アテンザワゴン』をこのクラス(8万円のジーパンクラス)にまで押し上げたい!!もちろん『プレミアムなクリーンディーゼル』『魅惑の塗装』『オートクチュールなレザーの質感』などなど、そのための技術的な裏付けも獲得してきました。

  高い理想と高いポテンシャルはある!!しかし世間がついてこない・・・。結局はどこか落ち着かないクルマになってしまった・・・。色々理由はあるでしょうけど、やっぱり『動画で登場するアテンザはセダンが多い』に尽きるんじゃないですかねー。結局マツダのスタンスでは最初から『セダン推し』でガチガチに決まっていたこと。そしてサイドパネルのグラマラスな雰囲気が『アテンザセダン』における琴線なのですが、ワゴンではもちろん別のパネルを使っていて表現も全く別で、しかもサイドよりもルーフラインに目がいくデザインへと強引に仕立ててある。これは・・・デザインが優秀であるゆえに陥る罠なのかも。セダンとワゴンが同じモデル名である必然性がない!!それどころかマイナスに作用している。ド下手に『二兎』を追ってしまった・・・か!?

  セダンのデザインがスキャンダラス過ぎるのでワゴンが割を食った・・・。いやいやセダンのデザインと同じくらいにワゴンも頑張るべきだったんじゃないのかなー。スバルやメルセデスはそれなりに危機意識持ってデザインしたけど、マツダはそこまで追求できなかった!?本来は2013年春に発売予定だったものを、半年早めたことで煮詰める時間がなかったのか? ただ決して悪いデザインではないです。いかにも実用車らしい風貌は、あえてセダンとの対比を考えて抑えた部分もあるんですかねー。

  セダンよりもホイールベースが短くて(欧州の税金対策らしい)、走り・乗り心地に関してはセダンよりもワゴンの方に好感が持てます。ワゴンのホイールベースでセダンか4ドアクーペでも作ってくれれば・・・また違ったアテンザの世界が開けるんじゃないでしょうか? ハイチューンに仕立て直した2.5Lターボ&Gベク連動AWD。これですぐさま三菱AYCやアウディクワトロのレベルにまで到達できるとは思わないですけども、メルセデスやBMWがハナから諦めて近づこうともしない世界へアテンザワゴンが踏み出すならば、『捲土重来』全てを変えることもできるんじゃないでしょうか!?・・・まだまだマツダの課題は山積みです。
 

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2 件のコメント:

  1. 買ってもないのに文句を言うもの2017年6月15日 5:51

    おっしゃる通りワゴンは所有することで「素敵な」ライフスタイルがイメージできるかどうかが最大のポイントと感じます。
    アテンザはアウトドアのイメージが薄い感じはするんですが、軽井沢の大きな別荘に停まっていたりすると最高におしゃれだと思いますね。

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    1. コメントありがとうございます。

      そうですよね!!良くも悪くもマツダの開発者のイメージが暴走していていい感じのクルマだと思います。
      Dセグだと輸入車率が相当に高い東京近郊に住んでますが、BMWやアウディを選びそうな身なりのオッサンが大挙してワゴンをドヤ顔で乗ってますから、目論見はまずは成功なのかもしれません。

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